東海道BEER


ブルーパブ名: 東海道BEER川崎宿工場
電話番号: 044-272-3639
住所: 神奈川県川崎市川崎区本町1-4-1
定休日: 火曜休
営業時間: 平 日: 17:30〜23:00
土日祝: 12:00〜23:00
ビールの種類: 1623 (インディア ペールエール)
黒い弛緩[しかん] (ポーター)
薄紅の口実 (イチゴのフルーツビール)
麦の出会い (ホワイトビール)
醸造開始: 2018年12月21日
アクセス: 京浜急行電鉄 本線/京急川崎駅から徒歩8分
JR東海道本線、横須賀線、京浜東北線、南武線/川崎駅から徒歩15分
Facebook: 東海道 BEER 川崎宿工場

製造元: 株式会社岩田屋
電話番号: 044-272-3639
住所: 神奈川県川崎市川崎区本町1丁目4番地1 本町コーポ1階

東海道BEER(とうかいどうびーる)は、 神奈川県川崎市川崎区へ2018年に誕生したブルーパブ「東海道BEER川崎宿工場」(とうかいどうびーるかわさきじゅくこうじょう) で製造・販売しているクラフトビールです。
東海道BEER川崎宿工場がある場所は、東京都との県境である一級河川「多摩川」の下流域のすぐ近くで、 江戸時代には東海道の川崎宿(かわさきしゅく)として栄えたところです。 川崎宿は、東海道の起点である日本橋から数えて2つ目の宿場で、1623年(元和9年)に出来たとされています。
時代は大きく移り変わり、現在では川崎宿があった当時の面影はほとんど残っていませんが、 その当時に思い馳せながら静かにクラフトビールを楽しめる場所が、東海道BEER川崎宿工場です。
東海道BEERを飲めるところは、今のところ東海道BEER川崎宿工場が中心ですが、 ゆくゆくは川崎市内のビアバーやパブへ樽生を展開していく予定です。


東海道BEER川崎宿工場がある「本町コーポ」ビル
旧東海道沿いに建っています


東海道BEER川崎宿工場


夜はこんな感じ


【左の写真】 入口の引き戸は、イチョウとトンボの図柄が透かし彫りになっています
【右の写真】 通りからは、ガラス越しに醸造設備が眺められます


東海道BEER川崎宿工場の店内


カウンター席からガラス越しに醸造設備を眺められます


店内は、全体的に「和」のテイストに統一されており、落ち着いた雰囲気を醸し出しています
正面の引き戸の透かし彫りも印象的です


カウンター席からの眺めは、日本家屋の部屋の中から庭園を眺めるようなシチュエーションを演出
ステンレス製の醸造タンクが並ぶ光景を川崎の工場夜景に見立てたライティングも素敵です


カウンター席の背面の壁には、現代の川崎の夜景が広重風なタッチで描かれています





店内奥には、7本のタップ

東海道BEERは、原材料にドイツ産の麦芽とアメリカ産、ニュージーランド産のホップを使用し、 地元 川崎の水を仕込み水として使用して醸造する非熱処理で無ろ過の酵母が生きるビールです。
1623、黒い弛緩、薄紅の口実、麦の出会いの4種類が定番ビールで、 この先、時折限定醸造ビールを提供していく予定です。

黒い弛緩

薄紅の口実

麦の出会い


試作品のボトル

東海道BEER川崎宿工場のフードメニューは、軽いおつまみメニューが中心で、 ソーセージ、厚切りベーコン、和牛コンビーフ、きゅうりのビール漬け、自家製ピクルス、 炭焼き燻製ミックスナッツ、炭焼き燻製レーズン、柿の種などから選べます。 今後は、こだわりの肉料理を1品増やして行く予定とのこと。




東海道BEER川崎宿工場を経営する株式會社岩田屋の代表取締役で一級建築士の岩沢 克政(いわさわかつまさ)さんは、 地元 神奈川県川崎市の出身で、1894年(明治27年)創業の老舗ガラス店「岩田屋」の4代目です。 現在は、ガラス店を拡張してサッシなどの建具工事業から設計事務所まで多角経営を進めていて、 新規事業としてクラフトビールの製造とブルーパブの運営に乗り出しました。

岩沢さんがビール造りを始めた動機は、岩田屋がある地元界隈へ人々を呼び込みたいと思ったことが出発点でした。 旧東海道沿いに建つ岩田屋があるこの場所は、かつて川崎宿があったことから、 川崎宿という歴史的な遺産を持つこの地域の活性化につながることが何かできないかと考えていました。 そして、何をしようかと考えた時に、「人が集う場」ということから飲食業を思いついて、 かつてこの辺りには麦畑が広がっていたということを知って、ビール造りをすることを思いつきました。

醸造技師の田上 達史(たのうえさとし)さんは、神奈川県横浜市港北区の出身で、 以前は同じ川崎市内にあった「風上麦酒製造」(かざかみばくしゅせいぞう、2016年7月〜2017年12月) でビール造りをしていた方です。
田上さんは、大学院を卒業後、しばらくはミュージシャン活動(ボーカル)をしていましたが、 その後は大学時代に学んだ物理学の教養を活かし、予備校で物理の講師をしていました。

田上さんがビール造りを始めた経緯は、2008年頃にシメイ青の5年熟成物と出逢って衝撃を受けたことをきっかけに、 それ以来フレーバーの強いビールに興味を持つようになったことから始まります。 そして、2015年にそれまで勤務していた予備校を退職すると、 同年10月〜2016年1月の間に東京都北区の十条にある「十条すいけんブルワリー」でビール造りを学んだ後、 風上麦酒製造を立ち上げて、2016年7月17日より販売を開始しました。

しかしその後、田上さんの身の上に不幸な出来事が起こりました。 いつもビールの配達に使っていたバイクに乗っていて、車と接触する交通事故に遭ってしまいます。 その後、その時の怪我の後遺症により重たい物を持ち上げるような醸造の仕事を続けることが体力的にきつくなってきて、 田上さんはいろいろ考えた末に、苦渋の選択ではありましたが風上麦酒製造を廃業することを決心します。

そして、風上麦酒製造の醸造設備を醸造所ごと人手に渡すことを決め、 以前よりビール醸造を検討していた同じ川崎市内でカフェ「Cafe CLUB KEY」を営む佐藤 学さんへ設備を譲渡することにしました。 これにより醸造所の名称も「風上麦酒製造」から「鍵屋醸造所」に変更されました。
その後しばらくは、鍵屋醸造所のサポートを続け、 鍵屋醸造所としての1回目の仕込みでは醸造手順の指導を行ったり、 コンサルタント的に鍵屋醸造所のレシピづくりを2018年11月頃まで続けていました。

田上さんは、風上麦酒製造を廃業した当初、もうビール造りの世界へ戻ることはないと思い、 物理の道へ進もうと考えていました。物理に関する専門書も買い集めました。
そうして、SNSを通して「身体がきついので、醸造から撤退する」ことを発表したところ、 田上さんのもとへ4社から連絡がありました。 最初に連絡があったのは、某予備校からでした。そして田上さんは、その予備校へ行こうと考えていました。 しかし、その後連絡のあった3社は、すべて新たなブルワリーの立ち上げを計画しているところからの誘いでした。 田上さんは、そうしたオファーをもらったことから「まだビール業界に留まった方が良いのではないか?」と、 考えるようになりました。

こうして田上さんは、リハビリの甲斐もあって、岩田屋の岩沢さんと組んでもう一度ビール造りを始めることにしました。 岩田屋を選んだ理由を田上さんへ尋ねたところ、 「川崎市と結びつきのあるプロジェクトだったことと、自宅から一番近くだった」という内容でした。
一方、岩田屋の岩沢さんは、「ビール造りを始めようと計画はしたものの、なかなか踏ん切りが付かなかったところに、 田上さんが現れて一気に事が進みました。」とその時のことを振り返っていました。

こうしてブルーパブの開業に向けて動き出すこととなり、 元々 再利用を検討していた岩田屋の建物内のガレージ兼倉庫だったスペースをリノベーションして、 店舗にすることにしました。
2018年10月26日には、醸造設備を搬入。コトブキテクレックス経由で中国製のプラントを導入することにしました。

店舗内の内装は、以前 川崎宿があった土地柄から旧東海道をキーワードに、 「和」のテイストを取り入れたデザインに統一することにして、 カウンター席の正面は日本家屋の中から庭園を眺めた時のようなシチュエーションを演出したり、 カウンター席の背面の壁画には以前川崎宿のあった多摩川周辺の現代的な夜景が描かれています。 ことに、広重の浮世絵「東海道五十三次」で描かれた川崎宿では多摩川と六郷の渡し舟が描かれていたのに対して、 ここでは多摩川に架かる第一京浜(国道15号線)の六郷橋が描かれているところが対象的でおもしろいです。 出入口の引き戸には、 近隣にある稲毛神社(いなげじんじゃ、旧 武甕槌神社)の神木で川崎区の区木にもなっている銀杏(いちょう)と、 「勝ち虫」と呼ばれ縁起が良いとされる蜻蛉(トンボ)をあしらった透かし彫りが施されているなど、 総じて店舗の随所にこだわりを感じる造作が見て取れます。

そして、同年11月29日に酒類等製造免許(発泡酒)を取得。そこからビールの醸造を開始し、 同年12月19日には「東海道BEER川崎宿工場」のオープニングセレモニーを開催。 こうして同年12月21日には、遂に「東海道BEER川崎宿工場」のグランドオープンを迎え、 それに合わせて自家醸造ビールの販売開始に漕ぎ着けました。

東海道BEERは、 どれも苦味を抑えた非常にドリンカビリティの高いスルスル飲めるビールのラインナップになっていて、 風上麦酒製造の時のフレーバーを強調した尖った味のビールとは180度方向性の異なるビールになっています。 この辺について田上さんの心境の変化をお訪ねすると、 「これまで(風上麦酒製造の頃)は、地元を意識することはなく、全国のコアなファンだけを見て来た。 今(東海道BEER川崎宿工場)は、 (地元志向となり)一般の川崎市民の中に定着するモノでありたいと考え、 一般受けするビールを造ることにした。」とのことで、 今後について尋ねると、「現在は生産が追い付かず店内での販売が精一杯だが、 ゆくゆくは川崎市内を中心に樽生を販売していきたい。ボトルビールも順次始めていく予定。 そして、ぼちぼちと都内のビアバーへも出して行くかもしれない。」と語っていました。

田上さんは以前から「醸造の上手さは、経験よりも理論と設備」という持論を持っています。それはすなわち、 「『長い経験がある』という人がいるが、毎日同じことを繰り返していては、新しいものを生み出すことはできない。 常にいろいろ新しいことを頭で考えて、トライ&エラーを繰り返していかなければ成長はない。 そして、その考えを実行できる設備が揃っていなくては、新しいものを生み出すことはできない。 」ということを言っています。

田上さんのご厚意で醸造設備をみせて戴きましたのでご紹介します。


醸造設備


仕込み設備
手前右のタンクが、糖化槽(マッシュタン)兼、ロイター兼、ワールプール
左奥のタンクが、煮沸槽(ケトル)


500リットルの発酵タンクが3基(左奥側)と、熟成用のBBT(ブライトビアタンク)が1基(一番手前)


右側の3基が500リットルの発酵タンク、一番左がBBT(ブライトビアタンク)


プレハブ冷蔵庫


冷蔵庫の中には開栓を待つケグが並んでいます


株式會社岩田屋の代表取締役で一級建築士の岩沢 克政さん


東海道BEER川崎宿工場のブルワー 田上 達史さん


ビアクルーズ管理人の一言:
2019年1月、東海道BEERは、神奈川県川崎市川崎区にある「東海道BEER川崎宿工場」を訪れて、店内で飲みました。 田上さんには、お心遣いを戴き感謝しております。



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