牧之原えーる


ブルーパブ名: 池田屋酒店/角打ち晩酌倶楽部
電話番号: 0548-52-0030
住所: 静岡県牧之原市波津724
定休日: 第3月火休
営業時間: 9:00~20:00
ビールの種類: ペールエール
IPA (インディア ペールエール)
ヴァイツェン
醸造開始: 2020年6月28日
アクセス: JR東海道本線、東海道新幹線/静岡駅からしずてつジャストライン(静鉄バス)特急静岡相良線で64分、「相良営業所」バス停から徒歩5分
Facebook: 池田屋酒店

製造元: 池田屋麦酒株式会社
電話番号: 0548-52-0030
住所: 静岡県牧之原市波津724番地

牧之原えーる(まきのはらえーる)は、静岡県牧之原市へ2020年に誕生した牧之原初のクラフトビールで、 地元の酒販店「池田屋酒店」の店舗の一角にある醸造所でつくられています。
牧之原えーるの故郷、牧之原市(まきのはらし)は、静岡県中部の太平洋岸に位置し、 お茶の産地として全国的に知られる都市です。 牧之原台地に広がる茶園の栽培面積は静岡市に次いで全国第2位を誇り、 市内には「お~いお茶」でお馴染み伊藤園をはじめ茶葉の工場がいくつもあります。 また、駿河湾西岸にあたるこの地域の海岸には漁港や海水浴場が並んでいて、 夏季には多くの海水浴客やサーファーが訪れ観光スポットとして賑わいをみせています。
そんな牧之原市にある池田屋酒店は、1871年(明治4年)創業の老舗酒販店で、 JR静岡駅からバスで1時間程の駿河湾にも近い静かなところにあります。 店内にはその場で酒を楽しめる「角打ち晩酌倶楽部」を併設しており、 ここで出来立ての牧之原えーるを味わうことができるほか、ペットボルト入りの牧之原えーるを購入することもできます。


池田屋酒店





池田屋酒店の店内








会計カウンターの奥には、昔ながらのとっくりが飾られています


店内奥からは醸造設備を眺められます

牧之原えーるは、原材料にカナダ産、イギリス産の麦芽とドイツ産、アメリカ産のホップを使用し、 大井川に源を発する地元 牧之原の水を仕込み水として使用して醸造しています。 ペールエール、IPA、ヴァイツェンの3種類を定番ビールとして提供しています。
IPAは、クラフトビールに馴染みの少ない地元の人々にも多く飲んでもらいたいということから、 苦味を抑えながら香り豊かなエールに仕上がっています。

ペールエール

IPA


牧之原えーるを製造する池田屋麦酒(いけだやばくしゅ)株式会社の母体となる池田屋酒店は、 1871年(明治4年)創業の老舗酒販店で、牧之原市内でも以前は相良町(さがらちょう)と呼ばれていた地域にあります。
池田屋酒店の店主 鈴木 英樹(すずきひでき)さんは、地元 牧之原市の出身で、代々続く池田屋酒店の6代目になります。 在学中に5代目である父親を亡くし、店を継いで以来 50有余年この池田屋酒店を守ってきました。 1986年頃からは10年余りコンビニのフランチャイズ店をしていた時期もありました。 その後専業酒屋に戻し、先代が角打ちをやっていたことに倣い、 店内フロアの奥のスペースを改装し、店内で酒を楽しめる「角打ち晩酌倶楽部」(かくうちばんしゃくくらぶ)を開設しました。 角打ち晩酌倶楽部の一角にはステージのようなスペースも設けて、 地元のアマチュアバンドにスペースを貸してライブを開催したり、時にはプロのバンドを呼んだこともありました。

それから、10年余り時が流れ、自分たちを含め地域の高齢化が進んで行くことや、 大型店に押され小売り業も先細り傾向にあったことなどから、池田屋酒店をいっその事閉めてしまおうかと考えてみたり、 店舗を売れるうちに売却してしまおうかと不動産屋へ相談したこともあったと言います。 そうして店の存続を検討しながら5年程が経った頃に、 池田屋酒店の店舗の一角を使ってビール造りを始めてみてはどうかというアイデアが持ち上がり、 池田屋酒店はビール造りに向けて大きく舵を切ることになります。 そしてその推進役を、鈴木さんの長女の麻水さんが務めて行くことになります。

池田屋麦酒株式会社の代表取締役で醸造長の月居 麻水(つきおりまみ)さんは、実家のある牧之原市の出身で、 派遣社員として静岡市内に勤務する傍らビール造りを始めた醸造家です。 麻水さんは子供の頃より、いずれは酒屋を継ぐものと思いつつこの牧之原で育ちました。 そして大学卒業後は静岡市内に就職し実家から通勤していましたが、 2000年の結婚を機に静岡市内に住むようになりました。 生活圏が次第に牧之原から離れていき、自分の生活が出来上がっていくにつれて、 麻水さんの「酒屋を継ぐ」という子供の頃からの思いも遠ざかって行きました。

麻水さんのご主人である月居 一誠(つきおりかずまさ)さんは、静岡県清水市(現在は静岡市清水区)の出身で、 現在も会社員を続けながら、仕込みがある週末には麻水さんの醸造作業を手伝っている醸造家のひとりです。 一誠さんは、元々工場見学が好きで、結婚後は麻水さんを連れては全国あちらこちらの工場を訪れていました。 その中には静岡県伊豆市のベアード・ブルワリーガーデン修善寺や、 静岡市内のアオイビールの醸造所などを訪れることもあって、ビールの醸造にも興味を持つようになりました。 また、一誠さんは以前から「何か事業を立ち上げられないか」と考えていたこともあって、 池田屋酒店を小売りだけではなく、自分たちで酒を造って販売してみてはどうかと二人は考えるようになりました。

それからネットで検索しては醸造所のことを調べていき、 どこか醸造について学べそうなところはないかと探すようになりました。 それから2、3年程して、東京都大田区にある羽田ブルワリーの鈴木祐一郎さんと連絡を取るようになり、 1年程経過した2019年1月に羽田ブルワリーを訪ねてみることにしました。 それからは、羽田ブルワリーの鈴木さんから、ビール造りに関する事業計画から様々な手続きや、 醸造設備に至るまでいろいろなことを教わり、醸造設備の導入についても全て羽田ブルワリーで設計してもらっていました。 こうして月居さんご夫妻と父の鈴木さんは、ビール造りに向けて準備を開始し、 2019年11月11日に池田屋麦酒株式会社を設立し、麻水さんが代表取締役に就くことになります。

そして、2020年1月18日より店舗内の改装工事が始まりました。 店の奥にあった角打ち晩酌倶楽部を酒類の販売スペースへ移設し、 角打ち晩酌倶楽部のあった場所へ醸造所を置くことにしました。 そして、同年3月初旬には醸造所の内装も完成し、仕込み設備を搬入することもできました。 その一方で、同年1月~3月に掛けて東京へ何度か通いながら羽田ブルワリーでビール造りの研修も受けていました。 それから羽田ブルワリーで委託醸造した「牧之原えーる」の試作品となるペールエールを同年4月11日から販売して、 地元客の反応を見ながら「牧之原えーる」の販売に向けた感触を掴んで行きました。 そして、同年5月20日に酒類等製造免許(発泡酒)を取得。同年6月6日に初仕込みを迎え、 同年6月28日には遂に自家醸造の「牧之原えーる」の販売開始に漕ぎ付けました。

池田屋酒店のこれまでの経緯は、以下の通りです。
1871年(明治4年)池田屋酒店を創業
2019年11月11日池田屋麦酒株式会社を設立
2020年1月18日醸造所の内装工事開始
2020年3月初旬醸造所の内装完成、仕込み設備を搬入
2020年5月3日発酵&貯酒タンクを搬入
2020年5月20日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2020年6月6日初仕込み
2020年6月28日牧之原えーるの1stバッチとなるペールエールを販売開始

池田屋麦酒では、1バッチ(1ロットの生産量)が150リットルで、 現在は月居さんご夫妻が金曜日の夜から週末を使って、週に1回のペースで醸造しています。
これから先、「牧之原えーる」の知名度が上がり生産量が増加した暁には、 麻水さんは本業として池田屋麦酒に専念したいと考えています。 そうなれば、一度は諦めかけていた後継ぎのことも、ビール造りという新たな取り組みを通して、 これまで父親が守って来た池田屋酒店を継ぐ日が訪れることでしょう。 そしてまた、このクラフトビール事業を支えに、地元の地域活性化に貢献して行くという意味でも、 さらなる挑戦は続いて行くことでしょう。

麻水さんに「牧之原えーる」の今後についてお尋ねすると、 「次は、アンバーエールをつくりたい。また、副原料に静岡県産のみかんやお茶を使ったビールもつくっていきたい。」と、 語ってくれました。
月居さんご夫妻のご厚意で醸造設備を見せてもらいましたので、ご紹介します。


醸造所





仕込み設備
左側が煮沸釜(ケトル)兼ホットリカー、 右側が糖化釜(マッシュタン)兼ロイター
中央の小振りなタンクは、リザーブタンク


2バレル(※実質、150~160リットルで使用)の発酵&貯酒タンクが4基


発酵&貯酒タンクは、エスエス ブリューテック社のタンクを採用


麦芽の粉砕機(ミル)


代表取締役の月居 麻水さん


ビアクルーズ管理人の一言:
2020年8月、静岡県牧之原市にある「池田屋酒店」を訪れて、「牧之原えーる」を購入して自宅で飲みました。



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