River Port Brewery


ブルーパブ名: 蔵バー
電話番号:
住所: 岐阜県美濃市港町1448-1-2-2
定休日: 土日祝日は通常営業、平日はグループでの予約により営業可
※土日祝もイベント等で休みの場合があるため、ホームページの営業カレンダーにて確認されることをお奨めします
営業時間: 土曜日: 15:00~19:00
日祝日: 15:00~18:00
ビールの種類:
花みこしクリームエール (クリームエール)
うだつブラウンエール (ブラウンエール)
岩陰ポーター (ポーター)
小倉山城IPA (インディア ペールエール)
和紙あかりビターエール (ビターエール)
川湊ペールエール (ペールエール)
美濃橋ブラウンエール (ブラウンエール)
長良川ペールエール (ペールエール)
どーぞこーぞエール (ビターエール)
にわか囃子セッションIPA (セッション インディア ペールエール)
ミナモかがり火IPA (インディア ペールエール)
ベルジャンデュベル (ベルジャンデュベル)
バーレイワイン (バーレイワイン)
営業開始: 2023年2月25日
アクセス: 長良川鉄道 越美南線/梅山駅から徒歩20分
URL: https://riverportbrew.jp/
Facebook: River Port Brewery
instagram: River Port Brewery

製造元: 有限会社アーバンプラネット  美濃麦酒醸造所
電話番号:
住所: 岐阜県美濃市1448番地1の2の2

River Port Brewery(リバーポートブルワリー)は、岐阜県美濃市で2023年に誕生したマイクロブルワリーです。 River Port Breweryのある美濃市(みのし)は、岐阜県の南部、中濃地方の中央に位置し、 美濃和紙の産地として有名で、古くは小倉山城の城下町として繁栄したまちです。 また、市内には清流 長良川が流れ、板取川との合流地点にもなっています。 長良川沿いの港町は、江戸から明治に掛けて物流を支える川湊があったところで、 今も木造の灯台がその当時の面影を留めています。 そうした港町にある築110余年の町家や蔵を活用して建てられた醸造所が、River Port Breweryです。 敷地内には、宿泊施設、醸造所、タップルーム「蔵バー」などの施設を擁しており、 夏場の週末にはリバーダイビングを楽しみに来る宿泊客で賑わいます。 蔵バーの店内は、カウンター席のみで、蔵バーの入口にテーブル席が用意されており、 出来立てのクラフトビールを味わうことができます。


River Port Breweryのある町屋





入口から醸造所へつながる廊下


醸造所が設置された蔵


蔵バーの店内








ボトルビール


カウンター奥には、冷蔵庫内と直結のタップが6本


カウンターには、2基のビールサーバー


蔵バー入口のテーブル席

River Port Breweryでは、 原材料にイギリス産の麦芽とイギリス産、アメリカ産、ドイツ産、オーストラリア産のホップを使用し、 清流 長良川・板取川水系の水を仕込み水として使用して醸造しています。

花みこし
クリームエール

うだつブラウン

岩陰ポーター

小倉山城IPA

和紙あかり
ビターエール

川湊ペールエール

美濃橋
ブラウンエール

長良川
ペールエール

どーぞこーぞ
エール

ミナモかがり火
IPA


River Port Breweryのある美濃市は、豊かな自然に恵まれたところで、 市街地には江戸時代の情緒を感じさせる古い町並みが今も残されており、 「うだつの上がる町」として広く知られています。 「うだつ」とは、火災が発生した際に隣家との延焼を防ぐ防火壁や小柱のことで、 外観からの特長としては瓦屋根の両端の瓦を一段高く施工してあるところです。 江戸中期頃になると防火目的というよりは装飾的な意味合いが強くなってきました。 「うだつ」を備えた家を建造するには相当な費用を要したため、 いつしか「うだつ」が富の象徴とされるようになり、 地位や生活が向上しない時に使われる「うだつが上がらない」という言葉の起源にもなっています。 当時の豪商が軒を連ねた通りには、こうした「うだつ」が施された町家が並んで建っていることから、 「うだつのあがる町」と呼ばれて来ました。

このような「うだつ」に象徴される富を築いてきた美濃を代表的する産業が、美濃和紙です。 伝統工芸品である美濃和紙の歴史は1300年も前にさかのぼると言われており、 美濃和紙の手すき技術は、文化庁による国の重要無形文化財に指定されているほか、 ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されています。 時代は変化し、世の中から古き良きものが無くなりつつある中、 美濃の町並みや美濃和紙の技術は地元の人々の努力により今も大切に継承されています。 毎年秋になると古い町並みの軒先に美濃和紙を使った灯りが並ぶ「美濃和紙あかりアート展」が開催され、 大勢の観光客で賑わいます。 このような美濃市において、新たに産声をあげた美濃市初となるクラフトビール醸造所が、River Port Breweryになります。

River Port Breweryを運営する有限会社アーバンプラネットは、岐阜県美濃市に本拠地を置く、 清流長良川リバーダイビングリゾート、ダイビングスクール「TEAM AIR」、宿泊施設「GRAN BREW INN 美濃」、 タップルーム「蔵バー」などの運営や、クラフトビール製造を手掛ける観光関連企業です。 その有限会社アーバンプラネットの代表取締役 深和 英生(ふかわひでお)さんは、地元 美濃市の出身で、 ダイビングスクール経営の傍ら、長年の夢であったブルワリーの開業を成し遂げた経営者です。 深和さんは、明治時代から続く美濃和紙問屋の家に生まれ、高校時代までを美濃で過ごし、 大学進学のタイミングで上京、卒業後は東京の企業に就職しました。

River Port Breweryのある建物は、元々深和さんの実家で、美濃市内の長良川沿いの港町(と言う地名)にあります。 海に面していない岐阜県なのに「港町?」と思われるかもしれませんが、ここには昔、 長良川を利用した水運の港があり物流の要衝の地でした。(港の名称は上有知湊、「こうずちみなと」と読みます) 江戸時代から明治末期にかけて荷を積んだ川舟が常に往来し、様々な物資が美濃へ運び込まれ、 ここから美濃和紙を全国へ出荷していました。 ランドマークとして今も残る木造の川湊灯台が、当時の面影を留めています。 そしてRiver Port Breweryの前の通りは、牧谷街道と呼ばれ港と町をつなぐ物流の動脈だったと言います。 このような歴史を持つ川湊から引用して、ブルワリー名を"River Port"と命名しています。

また、River Port Breweryの建屋は、 江戸幕末に建てられた百有余年の歴史をもつ町家づくりの母屋と、土間続きの奥にある蔵から構成されています。 当初は美濃三大任侠で十手を預かる大親分 遠藤小左衛門が住んでいたと伝えられています。 その当時、美濃和紙の原料商、廻船業を営んでいた深和家は、長良川の川湊側に家を構えていましたが、 洪水に見舞われるなどのリスクを避けるため、1890年(明治23年)に坂を上ったこの町家を取得し移り住み、 1907年(明治40年)8月には美濃和紙卸商「深和紙店」をスタートしました。 1970年には法人化し株式会社深和紙店に社名を変更、 それからしばらくして本社社屋を美濃市の市街地へと移転しました。 町家の母屋や蔵はその頃のまま残されており、母屋には和紙問屋だった頃の帳場のあった小あがりや、 二階の隠し部屋などが今も当時の姿を留めています。 ※二階の隠し部屋とは、江戸幕末に建てられた町家では、 当時「町人は武士を見下ろさず」の禁制から表立った二階部屋を設けることが出来ず、 天井の低い厨子二階として隠し部屋がつくられていたと言います。

深和さんは、大学時代からスキューバーダイビングが好きで、 大学を卒業して勤めに出てからも、休日にはダイビングを楽しんでいました。 やがて趣味が高じて、1994年に勤めの傍ら社会人ダイビングクラブ「TEAM AIR」を主宰するようになり、 西日暮里に事務所を構え、所属するメンバーは200名にも達していました。 ところが、そうした深和さんの東京での生活に転機が訪れます。実家で余生を送っていた先代が亡くなり、 実家の面倒を見る事情が発生したため、故郷である美濃へUターンしなくてはならなくなりました。 元々家業である深和紙店は、長男である深和 昌司さんが継いでおり、 次男坊だった深和さんは上京の際に美濃へ戻ることを想定していませんでした。 (※現在は、深和さんも専務取締役として株式会社深和紙店の役員に名を連ねています。)

そして、美濃へ帰郷することを決断した深和さんは、勤務していた会社を2000年4月に退職。 東京でスタートしたダイビングクラブ「TEAM AIR」についても、一度は解散しようと考えましたが周囲からの助言もあり、 東京(神田佐久間町)に活動拠点を残して行くことにしました。そして、本拠地は美濃へ移し、 清流 長良川という素晴らしい環境を活かした「リバーダイビングリゾート」と銘打った新たな事業を始めることにしました。 そうして、これらの準備が整った2001年に美濃へ帰郷し、 同年6月11日に有限会社アーバンプラネットを設立しました。

それからしばらくして、深和さんは人生の伴侶と出逢うこととなります。 それが現在、River Port Breweryの醸造責任者を務める妻の深和 典子(ふかわのりこ)さんです。 典子さんは、神奈川県横浜市港北区の出身で、 趣味のダイビングで知り合ったご主人との長年の夢であるビールづくりを実現するためブルワーになったという醸造家です。 典子さんは、横浜で生まれ育ち、東京の大学を卒業後、東京都内で就職。 趣味だったダイビングを通して深和さんと知り合い、結婚を機に美濃に移住しました。

深和さんがクラフトビールに興味を持つようになったのは、大学時代の短期留学の時のことでした。 サマースクールでイギリス・オックスフォードを訪れ3ヶ月ほど滞在した際に、現地のブリティッシュパブに興味を持ち、 パブマップを購入し市内にある数々のパブを1軒1軒星取りしながら飲み歩いていました。 それほど冷えていないのに美味しくて、モルト感が強く、鼻から抜ける芳醇な香りがなんとも言えない、 そんなビールとの出逢いに衝撃を受け、クラフトビールの虜になりました。 丁度その頃、日本国内では大手メーカーのキレを求めるドライビールの人気が高まっていた頃でした。

そして、典子さんとの結婚。ハネムーンは、フランス、イギリス、イタリアに行きました。 フランスではワイナリー巡り、イギリスではパブに行きました。 そこで、典子さんは初めて本場のクラフトビールを体験、初めて飲むぬるくて美味しいビールが印象に残りました。 こうして、ダイビングに次いで夫婦共通の趣味としてクラフトビールが加わることとなりました。 そしていつしか、自分たちが住む美濃の地にクラフトビールが誕生することを、強く望むようになっていきました。

そうしたお二人のクラフトビールへの想いが緩やかに動き始める時がきます。 2018年12月、岐阜県郡上市にある「郡上八幡麦酒こぼこぼ」が、 設備増強のためクラウドファンディング(2018年12月~2019年1月末)を実施し、 たまたま深和さんがサポーターとなったことがきっかけで、つながりができます。
そして、郡上八幡麦酒こぼこぼで、ブルワーを目指す人を対象にした研修者の募集が始まりました。 これをきっかけに、2020年、深和さん夫妻は自分たちでブルワリーを設立することを決断します。 これまでも美濃市産のクラフトビールが誕生することを望んでいたことや、 美濃でつくった特産品を観光客に提供したいという思いもあって、 具体的な醸造習得のチャンスが訪れたことで実現への光が見えて来たことが決断理由でした。

そして、経営を担うご主人に代わってブルワーに名乗りを上げたのが典子さんでした。 こうして、2020年から郡上八幡麦酒こぼこぼのビール醸造研修に通いはじめ、 2022年までの約3年間通い続けて醸造技術を習得しました。
一方、実家の母屋の1階、2階を客室として改装し、2022年1月に宿泊施設「GRAN BREW INN 美濃」を開業。 「GRAN BREW」(グラン ブリュー)の名の由来は、 1988年公開のフランス・イタリアの合作映画「Le Grand Bleu」(グラン ブルー)から引用しています。 この映画はダイバーが主役で、映画への思い入れから、表題の「グランブルー」と、 ビール醸造の「ブリュー」を引っかけてネーミングしました。

そして、いよいよ醸造所とバーのスペースを設けるため、蔵や倉庫の改装が始まります。 郡上八幡麦酒こぼこぼとは、環境が似ていたことから、同じスタンスでスタートしたいと考えていました。 醸造設備も、郡上八幡麦酒こぼこぼの紹介で導入。2023年1月1日に、酒類等製造免許(発泡酒)を取得。 同年1月6日には初仕込みに臨み、6種類のビールが完成すると、 同年2月25日にタップルーム「蔵バー」をオープンし、それと共に自家製ビールのお披露目へと漕ぎ着けました。

深和さんにRiver Port Breweryの今後についてお尋ねすると、 「細く長く続けて行きたい。だから、あまり規模を大きくせずに、地道に進めて行きたい。 今のところはトラディショナルなスタイルのクラフトビールを追求しフルーツ系ビールなどはしばらく醸造予定はなく、 いずれ東京のアンテナショップなどへも出品したいと考えており検討中。」と語っていました。
一方、典子さんにもお尋ねすると、 「副原料に地元の特産物を使用できたらいいなとは思うが、基本的にはブームに左右されない正統派にこだわっている。 本来のビールに忠実に、美味しいビールを追求していくつもり。 まずは、いろいろな産地のホップを組み合わせて、香りや味を楽しめるビールをつくって行きたい。」と語ってくれました。

深和さんのご厚意で醸造設備を見せてもらいましたので、ご紹介いましょう。


100リットルの仕込みタンク


プレハブ冷蔵庫


深和 英生さん


深和 典子さん


River Port Breweryのこれまでの歩みは、以下の通りです。
2001年6月11日有限会社アーバンプラネットを設立
2022年1月「GRAN BREW INN 美濃」をオープン
2023年1月1日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2023年1月6日初仕込み
2023年2月25日「蔵バー」をオープンし、自家醸造ビールを販売開始
2024年2月日本地ビール協会主催「ジャパン・グレートビア・アワーズ2024」入賞
・美濃橋ブラウンエール【金賞】 (イングリッシュスタイル・ブラウンエール部門)
・岩陰ポーター【銅賞】(ブラウン・ポーター部門)

ビアクルーズ管理人の一言:
2024年2月、岐阜県美濃市にある「River Port Brewery」を訪れて、10種類のビールを購入し、自宅で飲みました。



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