妻有ビール |
ブルーパブ名: | [パブなし] | |
ビールの種類: | 十日町そばエール (オリジナルスタイルエール) めでたしゴールデンエール (ゴールデンエール) 豪雪ペールエール (ペールエール) |
|
醸造開始: | 2018年2月16日 | |
製造元: | 妻有ビール株式会社 | |
電話番号: | 090-1037-4388 | |
住所: | 新潟県十日町市太平字塚上り474番1 | |
アクセス: | 北越急行ほくほく線/まつだい駅から徒歩15分 | |
Facebook: | 妻有ビール株式会社 |
妻有ビール(つまりびーる)は、
新潟県十日町市(とおかまちし)へ2018年に誕生したマイクロブルワリーです。
妻有ビールがある十日町市は、新潟県の南部、中越地方に位置し、
市の中央部には日本最長の河川である信濃川(千曲川も含め)が流れています。
また、この地域は「越後妻有」(えちごつまり)とも呼ばれ、
日本有数の豪雪地帯(特別豪雪地帯に指定)として知られており、多い年には2m~3mの積雪となることもあります。
そうした越後妻有は、ほぼ全域が山間部であり豊かな自然に恵まれていて、積雪期以外は緑に覆われた美しいところです。
近年には、「越後妻有の里」として食・宿・温泉といった観光資源の見直しも行われ、
中でも 2000年から3年に1度開催されている「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、
世界最大級の野外アート展として知られはじめ、国内外から多くの人たちが訪れるようになりました。
こうした越後妻有へ、「クラフトビールで町おこし」をコンセプトに立ち上がったのが妻有ビールです。
妻有ビールは、原材料にイギリス産、ドイツ産の麦芽とアメリカ産、イギリス産、スロベニア産のホップを使用し、
地元 十日町の水を仕込み水として使用して醸造する非熱処理で無ろ過の酵母が生きるビールです。
そばエールは、十日町産のそば(「蕎麦屋清兵衛」製)を使用したオリジナルスタイルのビールです。
めでたしゴールデンエールは、オレンジピールを使ったゴールデンエールです。
めでたしゴールデンエール |
豪雪ペールエール |
妻有ビールの代表取締役兼、醸造責任者の高木 千歩(たかぎちほ)さんは、
両親の故郷である新潟県十日町市で生まれ、小学校へ上がる7歳までは当時住んでいた新潟市で過ごしました。
その後は埼玉県新座市や兵庫県伊丹市などを経て東京の杉並区で育ちました。
大学卒業後、
2002年5月より東京都内にあるシステム開発を手掛ける大手IT系企業に入社し、
システム関連の仕事やコールセンターの管理といった仕事に就いていました。その後、
2011年6月に勤務先を退職して、同年10月に両親の郷里である十日町市へ移住しました。
それからは、十日町市の「地域おこし協力隊」の活動へ参加、2014年3月末までの2年半の間、
「地域おこし協力隊」として十日町市の飛渡(とびたり)地区にて
「食と農を考える飛渡の会」の立ち上げなどの支援を行ってきました。
そんな高木さんがクラフトビールと出逢ったのは、東京で会社員生活を送っていた頃のことです。
元々ビールが好きだった高木さんは、銀座のとあるお店で初めてベルギービールを飲みました。
そのベルギービールとの出逢いがきっかけで、
それからはあちらこちらでクラフトビールを飲んで歩くようになりました。
そして高木さんは、活動の場を東京から十日町へ移すことになるのですが、
十日町にはクラフトビールを提供するお店が1軒もありませんでした。
そこで高木さんは、自ら十日町でクラフトビールを提供するお店をつくろうと考えます。
そうして、十日町市内へクラフトビールを扱うアメリカンスタイルのレストランの開業に向けて、
当時東京に住んでいた妹夫妻や義弟の友人らと4人で株式会社YELL(エール)を2014年2月に設立しました。
そして、「十日町から日本を元気にしたい!」というコンセプトを掲げ、
それまで活動してきた「地域おこし協力隊」にピリオドを打ち、
同年4月20日に国産クラフトビールとシカゴスタイルのピザを提供するレストラン「ALE beer & pizza」(エール ビアアンドピッツァ)
をオープンしました。
この時から高木さんは、株式会社エールの取締役と、「ALE beer & pizza」の店長を担当することになります。
その ALE beer & pizzaでは、地産地消を目指すべく、
地元産の野菜やお肉などの食材を使ったこだわりのメニューを提供しています。
ALE beer & pizza (TEL: 025-755-5550/水曜休/11:30~14:30、17:30~23:00/
所在地: 新潟県十日町市宮下町西267-1/
アクセス: JR飯山線、北越急行ほくほく線/十日町駅から徒歩10分/
URL: http://alebeerpizza.com/ )
そんな高木さんが次はビール造りに挑戦しようと考えるようになったのは、ALE beer & pizzaを運営していく中で、
様々なお客様からの声がもとで芽生えて行きました。
2014年4月にオープンした「ALE beer & pizza」ですが、
十日町周辺の住人はクラフトビールやシカゴ風ピザにあまり馴染みがなかったことから、
開業から1年間はあまり流行らず、お客の少ない状態がしばらく続きました。
その間、高木さんは広報活動の一環としてクラフトビールを楽しむセミナーを開催したりもしました。
そうして開業から3年目を迎える2016年頃になると、県外から訪れる観光客の来店が徐々に増えてきて、
店は軌道に乗りはじめたのですが、一方「十日町のビールはないのか?」という声も少しずつ増えてきました。
しかし十日町には、いわゆる「地酒」と呼ばれる日本酒の酒蔵は(2軒ほど)ありましたが、
ブルワリーは1軒もありませんでした。
そこで高木さんは、自らブルワリーを作ろうと考えるようになります。
それまで取締役兼、店長を務めて来た高木さんは、ALE beer & pizzaの運営からは退くこととし、
今度は「クラフトビールで町おこし」というコンセプトの元、次なるビール造りのプロジェクトへと活動をシフトして行きます。
まずは醸造所の立地についてですが、当初、ALE beer & pizzaがある十日町の市街地に構えようと考えていましたが、
知り合いの建設会社社長から自社の空き物件があると聴いて下見に行ってみると、
天井が高く、広さ的にもちょうど良いスペースがあり、
建物の屋外には車両を止められるスペースもあるため荷下ろしにも都合が良い
(市街地ではなかなか駐車スペースが取り難いこともあり)といった様々な条件が揃っていたことから、
その建物を借りることに決めました。
また、ビール造りを始めるに当たっては、全国12ヶ所のブルワリーを見てまわりました。
スワンレークビール、猪苗代地ビール、新潟麦酒、ベアードビール、反射炉ビア、ブリマー・ブルーイング、
エチゴビール、志賀高原ビール、カンピオンエール、アウトサイダー・ブルーイングなど。
こうして高木さんは、2017年1月27日に妻有ビール株式会社を設立します。
ビール造りについては、山梨県甲府市にあるアウトサイダー・ブルーイングで同年2月20日から4月20日までの丸2か月間、
研修を受けました。
研修が終わる頃から醸造所の内装工事が始まり、内壁のペンキ塗りが完了した10月中旬にはほぼ完成し、
11月22日には中国製の醸造設備を醸造所内へ搬入しました。
そして、同年11月30日に酒類等製造免許(発泡酒)を取得。
年が明けた 2018年1月14日から初仕込みに入り、
同年2月16日に開催された十日町市の雪まつり(2月16日~18日)のコミュニティ広場のブース出店で、
遂に妻有ビールのお披露目に漕ぎ着けました。
そして 2月23日からは、ALE beer & pizzaを皮切りに、妻有ビールの出荷が本格的に始まりました。
妻有ビールの今後について高木さんへお尋ねすると、
・十日町の産品とのコラボレーションをすすめて行きたい。
・地域の産物を副原料に使って行きたい。
・近所の農家の協力で、地元産ホップの栽培を始めて行きたい。
・クラウドファンディングの参加者や、ブルワリーの内装工事支援(ペンキ塗りの20名)など、
200人近い支援者の力を借りてここまでやって来れたので、周囲の皆様とこれからも一緒につくり上げて行きたい。
と、語っていました。
また、ボトルでの販売については、品質面で不安なため、今のところ計画がありません。
当面は、グラウラーによる計り売りをしていく予定。
高木さんのご厚意で醸造所を拝見させて戴きましたので、ご紹介します。
最後に、妻有ビールのロゴについて触れておきます。
ALE beer & pizzaの近くにある「諏訪神社」には、
八角神輿(はっかくみこし)という八角形をした珍しいおみこしが置かれてあるそうです。
そのおみこしをイメージして、八角形をモチーフに、
おみこしの頭の鳳凰(ほうおう)と麦をあしらった図柄になっています。
ロゴのデザインは、地域おこし協力隊の知人へ依頼し、きものの家紋のようなデザインに仕上げてもらいました。
ビアクルーズ管理人の一言:
2018年4月、新潟県十日町市にある妻有ビールを訪れた後、
「ALE beer & pizza」で妻有ビールを飲みました。