美深白樺ブルワリー


ブルーパブ名: Restaurant BSB
電話番号: 01656-8-7123
住所: 北海道中川郡美深町大通北4-9
定休日: 無休
営業時間: 12:00~22:00
ビールの種類: Ex-Optimist IPA (インディア ペールエール)
Golden Walden (ゴールデンエール)
Wild Sheep Chase (クリームエール)
Pringle of New England (ヘイジー インディア ペールエール)
Mellow Yellow (ペールエール)
BSB Pilot IPA #2 (インディア ペールエール)
P.M. Five (ダークエール)
Hearth Stone (ダブル インディア ペールエール)
WHITE LINES (インディア ペールエール)
P.M. X (スタウト)
トイタピウカ (ファームハウスエール)
Quiet Circus (ファームハウスエール)
Stray Sheep (クリームエール)
Walking the Sheep (クリームエール)
美深の森 (ファームハウスエール)
Nightmare before reunion (ミルクスタウト)
醸造開始: 2019年8月30日
アクセス: JR宗谷本線/美深駅から徒歩10分
URL: http://bifukacraftbeer.jp/
Facebook: 美深白樺ブルワリー

製造元: 株式会社美深白樺ブルワリー
電話番号: 01656-8-7101
住所: 北海道中川郡美深町字大通北四丁目9番地5-2

美深白樺(びふかしらかば)ブルワリーは、北海道美深町へ2019年に誕生したマイクロブルワリーです。
美深白樺ブルワリーのある美深町(びふかちょう)は、北海道の北部、上川地方に位置し、 町のほとんどが森林に覆われている自然豊かな町です。 町名の「美深」(びふか)は、アイヌ語で「石の多い場所」を意味する「piwka」(ピウカ)に由来しています。 「石の多い場所」とは、町内を南北に流れる天塩川(てしおがわ)の砂利川原を指していたと言われています。
そんな美深町の特産品の中の1つに、白樺樹液というのがあります。 白樺樹液は、美深町内に群生する白樺から年に1度、春先の限られた期間にだけ抽出される樹液です。 この白樺樹液を仕込み水に使ったビールを造ろうという発想から誕生したのが美深白樺ブルワリーです。 その美深白樺ブルワリーは、日本最北のクラフトビール醸造所であり、 地元の食材を使った料理を味わえるRestaurant BSB(レストラン ビーエスビー)を併設しています。


美深白樺ブルワリー
※出典: 美深白樺ブルワリーのFacebookより


※出典: 美深白樺ブルワリーのFacebookより


※出典: 美深白樺ブルワリーのFacebookより

美深白樺ブルワリーでは、原材料にカナダ産、ドイツ産の麦芽とアメリカ産のホップを使用し、 地元 美深の清冽な水と、美深産の白樺樹液を仕込み水に使用して醸造しています。 美深白樺ブルワリーの1バッチ(1ロットの生産量)が300リットルに対して、白樺樹液を7リットルずつ使用しています。 白樺樹液は、白樺が芽吹きに向けて、 豊富な養分を含んだ雪解け水を吸い上げる4月中旬から下旬に掛けてのみ採れる貴重なもので、 その生産量には限りがありますが、白樺樹液を100%使用して醸造することも目指しています。

美深白樺ブルワリーのボトル


美深町は、北緯44度という北海道の中でも北部に位置し 冬季にはマイナス41℃を下回ることもあるという厳寒な豪雪地帯である一方、 夏季には最高気温が33℃に達するという一年を通して気温の寒暖差の大きなところです。 主な産業は、農業、酪農、林業で、1960年代をピークに人口は減少傾向にあり、 地方都市のご多分に漏れず過疎化が課題となっています。 町ぐるみで地域活性化の取り組みも進められており、チョウザメや美深牛、羊関連製品といった特産品、 天塩川や白樺原生林でのアウトドア体験、村上春樹著「羊をめぐる冒険」の舞台など 観光資源の原石はいくつもあるものの活かしきれていないことや、アピール不足に悩んでおり、 美深から発信していくインパクトのある起爆剤を模索していました。

そうした中、地元の白樺樹液生産者や美深町観光協会を中心に、美深町の特産品である白樺樹液を使って、 地元の新しい名産品を何かつくれないものかと考えていました。 その1つとして、白樺樹液を使ったクラフトビール事業の構想が、2017年より本格的にスタートしました。 美深町の白樺樹液は、年間500トンの生産量(2017年時点)を誇り、全国の白樺樹液生産量のおよそ9割を占めており、 世界でも最大規模と言われています。 一方、美深町には元々ビールの好きな住民が多く、夏が短い分ビールで盛り上がろうという気運もありました。 そして、2017年8月26日に町内で初となるクラフトビールのイベント「美深クラフトビアフェス2017」を開催したところ、 人口4,400人のうち、500人もの町民が参加するほどの賑わいを見せたと言います。

また、元々美深町には、美深牛や美深羊などを筆頭に、ビールと相性の良い農畜産物が豊富にあるのに対して、 美深を含めて名寄都市圏にはビアホールやブルワリーが存在しないことや、 美深町内にはビール、日本酒、ワインなどの醸造所が一軒もありませんでした。 そして町の中心部には赤レンガ倉庫などリノベーションに向いた使われていない建物が数多く残されているため、 こうした資産の活用にもつながるなど、ブルワリー設立の条件は十分に揃っていました。 こうした事実より、大都市から離れたこの道北の小さな町においても、 クラフトビール事業が十分にビジネスとして成立すると関係者は確信していました。 そこで、試しに2017年に埼玉県の醸造所に委託して白樺樹液を使ったビールの試作も行なわれました。

2018年に入ると白樺樹液を使ったビール造りの試みも本格化して行きました。 同年5月には、ニセコビール(北海道ニセコ町)へ醸造を委託して、 仕込み水に白樺樹液を100%使った「White Birch Pilsner」(ホワイトバーチピルスナー) を試作品として300リットルほど製造し、 同年8月18日に開催した美深町内では第2回目となるビアフェス「美深クラフトビアフェス2018」でお披露目をしました。 また、同年10月9日には札幌の「Sapporo Craft Beer Forest 2018」でも試験販売を行いました。 ブルワリー設立に向けては、町内だけでなく他地域との人材交流にも期待が高まり、 美深来訪者への構想紹介やビールイベントを通して全国的に醸造家の美深への移住の働きかけも行ないました。 また、ブルワリー設立の資金調達には、自治体や国の助成金を活用し、 2018年8月17日~10月31日の間にはクラウドファンディングでの資金集めも行ないました。

こうして、クラフトビール事業創設は実現に向けて着実に歩み続け、 同年11月30日には株式会社美深白樺ブルワリーを設立しました。 そして、町の中心部に建つ築90年の赤レンガ倉庫をリノベーションし、 美深白樺ブルワリーと併設のレストラン「Restaurant BSB」の建屋が完成しました。 この赤レンガ倉庫は、1928年(昭和3年)に建てられた倉庫で、広さが約200平方メートル程で、 以前はジャガイモの貯蔵に使われていたといいます。 それから、2019年6月27日に酒類等製造免許(発泡酒)を取得。 同年6月29日にはビールの自家醸造に先駆けて「Restaurant BSB」をグランドオープン。 同年7月29日に初仕込みを迎え、同年8月30日には遂に自家醸造ビールの販売開始に漕ぎ付けました。 この時には、IPA、Golden Ale、Cream Ale 、Hazy IPAの4種類の液種でスタートを切りました。

美深白樺ブルワリーのこれまでの経緯は、以下の通りです。
2018年11月30日株式会社美深白樺ブルワリーを設立
2019年6月10日醸造設備を導入
2019年6月27日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2019年6月29日「Restaurant BSB」をオープン
2019年7月29日初仕込み
2019年8月30日自家醸造ビールを販売開始
2020年7月上旬600リットルの発酵タンク2基を追加導入


美深クラフトビアフェス開催
※出典: 美深白樺ブルワリーのFacebookより


醸造設備
※出典: 美深白樺ブルワリーのFacebookより


こうしたクラフトビール事業創設活動の中心となって動いていた方々の一人に、 柳生 佳樹(やぎゅう よしき)さんがいます。 柳生さんは、美深町の仁宇布(にうぷ)で宿泊施設や羊農場、ジャガイモ畑を営む「松山農場」の代表です。 柳生さんは、これまで松山農場の運営の傍ら、30年以上もの長きに亘り白樺樹液の生産も手がけて来ており、 その生産量は年間90トンにも及ぶと言います。 そして、美深白樺ブルワリーやRestaurant BSBの店舗であり、 美深クラフトビアフェスの会場としても使用された築90年の赤レンガ倉庫も柳生さんの所有とのことで、 ビール造りの原料から料理の食材、箱物である建屋まであらゆる角度から美深白樺ブルワリーの支援を行って来ました。

株式会社美深白樺ブルワリーの代表取締役を務める 高橋 克尚(たかはしよしなお)さんは、東京都江戸川区の出身で、 育ちも東京、都内でずっと会社員をしていたという経営者であり醸造家です。
美深へ移住してくる以前は、東京都内の大手IT系企業に勤務しており、 主に業務ツールやインフラなど社内向けのシステムを担当するエンジニアをしていて、 後半はマネージャー職として従事していました。高橋さんに転機が訪れたのは、2017年秋のこと。 「北海道にいいところがある」と知り合いからの薦めで、美深を訪れることにした高橋さんは、 1週間の休暇を使ってバイクで一人旅をしながら美深を訪れました。 そこで宿泊したのが、柳生さんが経営する松山農場のペンション「ファームイントント」でした。

夕食時に名物のジンギスカンを食べながら高橋さんは、 オーナーの柳生さんから美深についていろいろな話を聴かせてもらい、 その話の中からクラフトビール事業にかける柳生さんの想いが、高橋さんの心にも深く伝わってきました。 その後、しばらく美深のことを考えていましたが、やがて高橋さんは遠くから応援しているだけでなく、 自ら実行してみたいと考えるようになり、一念発起、クラフトビール事業へ参画してみることを決意しました。 そうして、2001年から17年間勤務してきた会社を2018年7月末に退職。 翌月の8月には、これまで縁も所縁もなかった美深町へ遥々東京から移住して来ることとなりました。 そして、これまで全く経験をしたことのないクラフトビールの醸造に、一から取り組むこととなりました。

この頃、醸造家を目指して道外から美深を訪れたもう一人として、 2018年4月から美深白樺ブルワリーに参画したドイツ人のマリウスさんがいました。 以前から美深白樺ブルワリー設立についてアドバイスをもらっていた 札幌市内でクラフトビール専門店「BEER CELLAR SAPPORO」(ビアセラーサッポロ)を経営する青木 栄一さんの紹介で、 マリウスさんは和泉ブルワリー(東京都狛江市)へビール造りの修業のため上京しました。 在京中には、和泉ブルワリーの他にも永代ブルーイング(東京都中央区)や、 FUJIYAMA HUNTER'S BEER(静岡県富士宮市)などにも足を運びました。 同年8月には一旦美深へ戻り、「美深クラフトビアフェス2018」に参加した後、 同年9月からは2ヶ月間に亘り米国オレゴン州ポートランドへも修業に行きました。 しかし、マリウスさんは道半ばにしてリタイアすることとなり、その後任として、道内から2名の助っ人が登場します。 それが、現メンバで唯一、醸造経験を持っていた川村さんと、料理人だったという風間さんです。

ブルワーの川村 洋平(かわむらようへい)さんは、北海道札幌市の出身で、 札幌を拠点にファントムブルワーとして日本全国のブルワリーを飛びまわりながら、 地元札幌ではビアバーを経営、そして美深でのブルワー勤務など多忙な日々を送る醸造家です。
川村さんは、「はこだてビール」(北海道函館市)で2年程醸造経験を積んだ後、 「Hobo Brewing」(ホーボー ブルーイング)というファントムブルワリーと、 ビアバー「Hobo Beer Stand」(ホーボー ビアスタンド)を運営中。

もう一人のブルワー 風間 健(かざまけん)さんは、北海道名寄市の出身で、 地元 名寄でビアバーを経営、美深ではブルワー勤務、二足の草鞋を履く醸造家です。
風間さんは、学校を卒業後、札幌のパン屋を皮切りに、テーマパーク、居酒屋、カフェ、レストラン、 ホテルや旅館など様々なところで働きながら日本各地を周っていました。 また、10ヶ月間ほど自転車で日本一周の旅をしたこともありました。

そんな風間さんがブルワーになった経緯は、東京のブルーパブでのIPAとの出逢いがきっかけでした。 仕事の関係で阿佐谷ビール工房(東京都杉並区)を訪れる機会があり、 それまで大手メーカーのビールしか飲んだことのなかった風間さんは、店内で初めて飲んだIPAに衝撃を受けました。 そして、クラフトビールに興味を持った風間さんは、 横浜大さん橋ホールで開催された「JAPAN BREWERS CUP 2017」に出かけて行き、 様々なクラフトビールと出逢い、その奥深さに惹かれ、それ以来、旅先ではブルワリーに立ち寄ったり、 ブルワリー目当てに旅先を決めるようになりました。

そうしたある日、美味しいピザ店があると聴き、美深町内の「ビブリオテーク」という店を訪れた風間さんは、 店主から開業準備中のブルワリーで求人があることを教えてもらいます。 早速、社長の高橋さんと会って話を聴いたところ、 こんなに身近に社員として醸造の仕事ができる場所があると知り、入社を決心します。 こうして、2019年4月より美深白樺ブルワリーで醸造や料理を手伝うことになりました。


ビアクルーズ管理人の一言:
2020年6月、北海道美深町にある「美深白樺ブルワリー」から「Pringle of New England」、 「WHITE LINES」を宅配便で取り寄せて、自宅で飲みました。



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