彦根麦酒


ブルーパブ名: 彦根麦酒
電話番号:
住所: 滋賀県彦根市石寺町1853
定休日: 火水休
営業時間: 平 日: 11:00~17:00
土日祝: 11:00~18:00
ビールの種類: PALE ALE (アメリカン ペールエール)
ISHIDERA WEIZEN (ヴァイツェン)
RED ALE (アイリッシュ レッドエール)
営業開始: 2021年4月29日
アクセス: JR東海道本線/河瀬駅からタクシーで12分
JR東海道本線/彦根駅からタクシーで20分
URL: https://hikonebrewing.jp/
Facebook: 株式会社彦根麦酒
Online Shop: https://hikonebrew.base.ec/

製造元: 株式会社彦根麦酒  荒神山醸造所
電話番号:
住所: 滋賀県彦根市石寺町1853

彦根麦酒(ひこねビール)は、滋賀県彦根市へ2021年に誕生したビールで、 琵琶湖岸にほど近い荒神山醸造所(こうじんやまじょうぞうしょ)で製造・販売しています。
彦根麦酒の故郷である彦根市(ひこねし)は、滋賀県の中央部に位置する琵琶湖の東岸に面した都市で、 琵琶湖や国宝 彦根城、井伊家ゆかりの地などで知られており、 最近ではマスコットキャラクターの「ひこにゃん」も彦根市の顔として定着しています。 歴史的には、中世より多賀大社の参詣道として開けていて、 江戸時代初期からは彦根城の城下町として栄え、中山道の宿場町として賑わいをみせていました。
そんな彦根で初のブルワリーとなる荒神山醸造所は、 荒神山の麓、琵琶湖沿岸を走るさざなみ街道から600mほど入った曽根沼に隣接したところに建っています。 よし壁に覆われた涼しげな建物の中は醸造所と直売所になっており、 直売所では瓶ビールやグッズを販売しているほか、その場で試飲することもできます。 また、グラウラーを購入すれば、ビールを量り売りでテイクアウトもできます。


彦根麦酒 荒神山醸造所


琵琶湖側からの景観
※出典: 彦根麦酒提供画像


山側からの景観


荒神山醸造所の通用口


直売所のエントランス


直売所の店内


店内では、グッズの販売もしています





デリバリーカウンター


カウンターの奥には、8本のタップ




荒神山醸造所では、 原材料にドイツ産、イギリス産、カナダ産の麦芽とオーストラリア産、アメリカ産のホップを使用し、 地元 彦根の水を仕込み水として使用して醸造しています。
Ishidera Weizenには、醸造所近くの畑から獲れた小麦を使っており、 今後はブルワリーの周囲の土地を活用した自家栽培の大麦やホップも使いながら、 「オール彦根産ビール」を目指しています。

PALE ALE

PALE ALE

ISHIDERA WEIZEN


彦根麦酒は、 土地の有効活用や地域活性化に向けた産民学連携のプロジェクトによって誕生した彦根市初のクラフトビールです。
彦根市の中西部に位置する石寺町、琵琶湖岸と荒神山(標高284m)に挟まれた田園風景が広がるこの一帯には、 広大な非農用地として20年もの間、放置されてきた土地がありました。 そして、地元の地権者たちが以前からそうした土地の利活用を模索していたところ、 2017年に地域活性化や環境共生まちづくりなどの研究を専門にしていた滋賀県立大学の環境科学研究科 鵜飼 修(うかいおさむ)准教授(当時)より、 地元の農産物の活用にもつながるクラフトビール造りの提案がありました。 そこから、地元住民、大学、企業が連携する「自然環境と調和した持続可能な事業プロジェクト」がスタートしました。

彦根麦酒を製造する株式会社彦根麦酒の母体は、1971年創業の株式会社橋本建設という地元で建設業を営む会社です。 同社は、1951年に家庭用プロパンガスの販売を開始、その後、建設業・建築業・不動産業に業容を広げ、 現在は株式会社橋本建設を中核に、株式会社橋本ホールディングス(持株会社)、株式会社橋本不動産、 株式会社オオミ建設、株式会社ネバーランドなどを擁する総合建設グループ企業に発展してきました。 その橋本建設の代表取締役 橋本 健一(はしもとけんいち)さんが、 新規事業となる彦根麦酒設立の強力な推進役となりました。

橋本さんがクラフトビール事業に乗り出すこととなったのには2つの背景がありました。 橋本さんが副会頭を務める彦根商工会議所では、観光客向けに食やクラフトビールの必要性について検討していました。 その理由として、欧米はじめ外国人観光客は、クラフトビールに関心が深く、 京都観光のついでにわさわざクラフトビールを飲みに滋賀県内を訪れる例が少なくなく、 インバウンドの彦根招致につながると考えられていたからです。 しかし、これまで彦根にはクラフトビールの醸造所が一軒もなったことから、 ブルワリーの誘致が課題となっていました。

一方同じ頃に、石寺町の土地の有効活用に関して滋賀県立大学の鵜飼先生からの提案により、 ブルワリー建設のことが地権者の間で話し合われており、 地権者の中に橋本建設の社員がいたことから、橋本さんの耳へもその話題が伝わりました。 そこで橋本さんは、両者の思いを合わせる形でクラフトビール事業への参入を決断し、 地権者の間では非農用地の土地の一部を、環境配慮型クラフトビール醸造所として利用する合意が形成されたことから、 2019年11月11日に株式会社彦根麦酒を設立しました。

醸造所の建設に際しては、橋本建設からの出資のほか、地元企業や地域住民からの資金提供もあり、 総額約1億2000万円をかけて醸造所を整備することになりました。 また、醸造所の予定地は都市計画法による市街化調整区域となっていたため、 商業施設を建てられないことから、農作物加工場として許可を得ることになりました。 そして、2020年9月26日には荒神山醸造所の地鎮祭が開催され、いよいよ醸造所建設に取り掛かりました。

醸造所の建物の設計に関しては、滋賀県立大学との連携が図られ、 環境科学部 環境建築デザイン学科の白井 宏昌(しらいひろまさ)教授を中心とした設計チームの協力を得ることができました。 荒神山周辺の景観に溶け込む木造平家建の建物は、 屋根に琵琶湖からの自然な風を取り入れる換気システムを採用し環境に配慮した設計となっており、 外壁には「よし壁」を採用して周囲の田園風景に馴染むデザインとしました。

一方、醸造所の完成に先駆けて2020年7月1日には、 委託醸造によるオリジナルビール第1弾「アメリカンペールエール"000"」の販売を開始しました。 委託先は、和歌山県和歌山市の和歌山麦酒醸造所三代目です。 本数限定だったこともあり、すぐに完売となり、クラフトビール販売への手応えを感じることができました。 また、自社のホームページを公開することで、地元の農産物を使ったビール造りを通して、 地産地消を推進する地域貢献を目指していることも広く発信できるようになりました。

建物が完成すると、大阪の設備メーカーである一ノ瀬から海順机械社製の中国製設備を導入。 2021年4月1日には、酒類等製造免許(発泡酒)を取得。 同年4月6日に初仕込みに臨み、PALE ALE、Ishidera WEIZENの2種類が完成すると、 同年4月29日には直売所のプレオープンとして試飲会を開催し、地元住民や建築に関わった大学関係者らが参加しました。 こうして同年5月2日には、彦根麦酒直売所のグランドオープンにも漕ぎ付け、一般販売を開始しました。

株式会社彦根麦酒で企画や広報宣伝などを担当する営業ディレクター 水野 華織(みずのかおり)さんは、 奈良県天理市の出身で、元々橋本建設の社員である傍ら彦根麦酒も兼務する立ち上げメンバーの一人です。 水野さんに彦根麦酒についてお話を伺ったところ、 「石寺町では少子高齢化が進んでおり、地域活性化やまちづくりを推進するため、 地元での持続可能なビジネスの立ち上げを検討してきた。 そうして完成した荒神山醸造所では、資源循環型ブルワリーを目指しており、 ゆくゆくは出来るだけ廃棄物を出さないように、ビール醸造過程で出る麦芽粕を、 地元の畜産の餌や畑の肥料にリサイクルを図って行きたいと考えている。」

今後のビール販売については、「彦根唯一の醸造所なので、まずは地元や近隣の住民に訪れて欲しいと思う。 当面は瓶ビールの販売を中心に進めて行くことになると思うが、彦根に定着した暁には、全国展開も目指して行きたい。 その時には、ケグでの出荷も拡大していく予定。先々には、大麦やホップも自家栽培や地元栽培のものに切り替え、 『オール彦根産ビール』で地域を盛り上げていきたい。」と語ってくれました。

株式会社彦根麦酒の取締役で醸造責任者の小島 なぎさ(こじまなぎさ)さんは、福井県永平寺町の出身で、 これまで石寺町のまちづくり活動に従事してきており、 地元での新たな産業創出への思いが高じてビール造りを始めた醸造家です。 小島さんは、滋賀県立大学在学中に「まちづくり」のサークルに所属していて、まちづくりの活動に惹かれていたことから、 大学卒業後、石寺町へ移住して「一般社団法人まちづくり石寺」の仕事に就きました。 そして、荒神山周辺地域の産業衰退や耕作放棄地などの課題解決に向けた産業創出・振興や、 古民家の利活用など石寺町のまちづくり活動に携わってきました。現在も理事として活動中です。

小島さんがビール造りを始めようと思った動機は、元々ビールが好きだったということもあったようですが、 これまで石寺町に住んで、仕事にも就くことができたことから、 お酒を通じて町や地元の方々へ恩返しがしたいと思い、ブルワーに志願することにしました。 それから、彦根麦酒の醸造責任者に着任が決まると、一からビール造りを学ぶため、 関西圏の2つのブルワリーに通いながらクラフトビールの醸造研修を受けて、ビール造りを開始する運びとなりました。

小島さんに今後の彦根麦酒についてお尋ねすると、 「まずは、彦根市内の飲食店や土産物店への浸透を図って行きたい。 既に近くで栽培される小麦を原材料に使っており、ゆくゆくは『オール彦根産ビール』を目標として掲げているので、 地元での大麦やホップの栽培を推進してもらい、順次ビール造りに取り入れて行きたいと思う。 酵母についても、長浜バイオ大学の研究協力を受けて、ビール醸造に使えそうな酵母を探しているところ。 これらが揃うことで、正真正銘の『オール彦根産ビール』を目指したい。」と語ってくれました。

最後に、荒神山醸造所の醸造設備についてご紹介しましょう。


醸造設備  ※出典: 彦根麦酒提供画像
設備は中国製 【1バッチ(1ロットの生産量)が300リットル】


仕込み設備
左側が煮沸釜(ケトル)兼ワールプール、 右側が糖化釜(マッシュタン)兼ロイター
※出典: 彦根麦酒提供画像


手前から、300リットルの発酵&貯酒タンクが3基、 その奥が冷水タンク
※出典: 彦根麦酒提供画像


※出典: 彦根麦酒提供画像


醸造責任者の小島 なぎささん


彦根麦酒のこれまでのあゆみは、以下の通りです。
2019年11月11日株式会社彦根麦酒を設立
2020年7月1日委託醸造のオリジナルビールを販売開始
2021年4月1日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2021年4月6日初仕込み
2021年4月29日彦根麦酒直売所をプレオープン
PALE ALE、Ishidera WEIZENの2種類の試飲会開催
2021年4月6日彦根麦酒直売所をグランドオープン
彦根麦酒の一般販売開始


ビアクルーズ管理人の一言:
2021年5月、滋賀県彦根市にある「彦根麦酒 荒神山醸造所」を訪れて、彦根麦酒を購入して自宅で飲みました。



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