193 VALLEY BREWING


ブルーパブ名: 193 VALLEY BREWING
電話番号: 0547-39-0193
住所: 静岡県島田市伊久美5202
定休日: 月~木休
営業時間: 10:00~14:00
ビールの種類: 193ペールエール#1 (ペールエール)
193ペールエール#A (ペールエール)
193ハードセルツァーish Null (ハードセルツァー)
モザイクレモネード (ハードセルツァー)
スリープレス イン シマダ (ペールエール)
ティー・トロン (アメリカン ウィートエール)
スプリングレイン (インディア ペールエール)
醸造開始: 2021年12月26日
アクセス: JR東海道本線/島田駅から島田市自主運行バス 伊久身線で40分、「やまゆり」バス停から徒歩1分
Facebook: ビアホップおおいがわllc.193VALLEYBREWING

製造元: 合同会社ビアホップおおいがわ
電話番号: 0547-39-0193
住所: 静岡県島田市伊久美5202番地

193 VALLEY BREWING(イチ キュー サン バレー ブリューイング)は、 静岡県島田市へ2021年に誕生したマイクロブルワリーです。 193 VALLEY BREWINGのある島田市の伊久美(いくみ)地区は、静岡県の中央部、大井川流域の東側に位置し、 島田市内を東西に横切る国道1号線から大井川沿いに北へクルマで約30分ほど、 山間のカーブの多い道を進んだところにあります。JR島田駅からバスだと約40分で到着。 その伊久美地区の豊かな自然の中に佇む赤い屋根の建物が、193 VALLEY BREWINGです。 館内には、醸造所やショップがあるほか、現在は未使用のパン工房、そば工房があり、 屋外にはバーベキューハウスも設置されています。


193 VALLEY BREWING


193 VALLEY BREWINGのエントランス


屋外からもガラス越しに醸造設備が見れます


193 VALLEY BREWINGの店内








193 VALLEY BREWINGの他に近隣のブルワリー製品も販売しています


キャッシャーカウンター

193 VALLEY BREWINGでは、原材料にアメリカ産、カナダ産の麦芽と、ヨーロッパ各地のホップを使用し、 伊久美川から流れる地下水を仕込み水として使用して醸造しています。
193 VALLEY BREWINGで最初の仕込んだプロトタイプ製品が、 193ペールエール#1、193ペールエール#A、193ハードセルツァーish Nullの3種類で これらは地域住民に限定で販売しました。
スリープレス イン シマダは、 伊久美地区を中心に島田市内の各地で無農薬栽培された茶葉を副原料に使用して醸造したペールエールです。

ペールエール#1

ペールエール#A

ハードセルツァー
ish Null

モザイクレモネード

スリープレス
イン シマダ

ティー・トロン


193 VALLEY BREWINGを運営する「合同会社ビアホップおおいがわ」は、 ビール製造、ホップ栽培を目的に2020年に設立された会社です。 代表の小林 浩樹(こばやしひろき)さんは、静岡県藤枝市の出身で、 長年地域の活性化に取り組んできた筋金入りの地域活性化仕掛人のプロです。 小林さんは、以前青年海外協力隊の一員としてパナマへ赴任した経験があります。 地元藤枝市の農協での勤務経験を活かし、現地では先住民族の自治区で農業協同組合の育成指導にあたっていました。 この活動を通して小林さんは、地域の特産物を売って行くには、商品情報の発信だけでは上手くいかず、 作っている場所や作っている人など地域のことを広く知ってもらうことが、大切であることを学んだと言います。

そんな小林さんは、以前から趣味で、斜面を滑走するマウンテンボードに取り組んでいました。 ところが、2001年7月に帰国してみると、しばらく日本を離れていた間に滑走できるコースが軒並み廃業していました。 そうした中、地元 藤枝市の瀬戸ノ谷にある大久保グラススキー場は営業を続けていましたが、 経営状態は芳しくなく倒産寸前といった状況でした。そこで、プロボーダー仲間とグラススキー場の存続のために、 体験スクールや大会を開催したり、隣接するキャンプ場で集客目的の野外フェスを開催したりと支援活動を続けてきました。 するとそうした活動が奏功して経営は徐々に持ち直していき、それと共に関係者からの小林さんへの信頼も高まり、 さらに顧客誘致に関する相談が続々と舞い込んで来るようになりました。

そこで小林さんは、大久保グラススキー場やキャンプ場を運営する大久保振興会と、 2007年4月1日に正式な雇用契約を結び職員として活動を続けることにしました。 そうして小林さんは、戦略を練ります。単に一施設からの情報発信ではどうしても広がり難いと思い、 地域まるごとでの情報発信をして行こうと考えました。そこで、「瀬戸谷地区」を全国に発信していくため、 名物の椎茸を使ったコロッケを中心に「せとやコロッケの会」を設立したり、 「茶畑の中心で愛をさけぶ」というイベントを開催したりと次々企画を繰り出して行くと、 数多くのメディアに取り上げてもらえるようになり、地域振興にも貢献していきました。
こうした活動が評価され、藤枝市観光協会からの招聘を受けて、大久保振興会の支配人を2017年3月に退職し、 翌4月から2019年3月までの2年間、藤枝市観光協会の事務局長を務めることになりました。

小林さんがビール造りを始めようと思った動機は、やはり地域活性化への想いからでした。 小林さんは、以前から飲み会の席で、ビールが人と人とをつないでいるのではないかと感じていました。 そのビールを使って地域活性化が出来ないものかと10年程前から想い描きながら、 自らビール造りを始められる機会をうかがってきました。そんな小林さんの背中を押すような出来事が起こります。 ラグビーワールドカップが日本で開催された2019年10月に、 袋井市の小笠山総合運動公園エコパスタジアムへ、ラグビーの観戦に行った時のことです。 様々な国や地域の人々が敵味方を超えて、ビールを片手に観戦している様子を目の当たりにして、 人と人をつなぎ、コミュニティを作る重要な飲み物であるビールが地域を元気にしてくれると確信した瞬間でした。

小林さんが生まれ育った藤枝市の西隣にあたる島田市の山間部、 大井川流域にある伊久美地区では、基幹産業である農業や林業が衰退し、少子高齢化、過疎化が進んでいました。 その伊久美地区に、農事組合法人が運営する伊久美農産物加工体験施設(通称 やまゆり)がありました。 過疎や高齢化に悩む山間地の活性化対策として、 地元の農産物の加工体験施設として1999年4月にオープンした施設でした。 やまゆりの加工場では、地元の女性を中心に住民が集い、そば、パン、総菜などをこしらえていました。 ところが、その「やまゆり」も2020年3月には閉鎖されることとなってしまいます。 小林さんはたまたま知人から、そのことを少し前に聞かされ、心を痛めていました。 そして、この「やまゆり」(伊久美農産物加工体験施設)が、後に193 VALLEY BREWINGへと姿を変えて行くことになります。

一方で、小林さんはビール造りに欠かせないホップについても、地元での生産を試みて、 大井川流域の新たな産業の1つとして広めて行きたいと考えていました。 そして、山梨県北杜市にあるホップ農家の「小林ホップ農園」からホップの根を分けてもらい、 島田市内の山あいにある元は茶畑だった農地を利用して、2020年3月より試験栽培を開始します。 ちなみに翌年からは、旧やまゆりの隣の畑(現 ビアホップおおいがわ193圃場)での栽培も始まります。 そうして育ったホップは、同年7月に2.5Kg程収穫することができました。 藤枝市内の乾燥・焙煎機器メーカーである西光エンジニアリングへ、収穫したホップを持ち込み、 世界的に評価の高いマイクロ波減圧乾燥機を使用してホップの真空低温乾燥をしてもらいました。 すると、ホップの色も香りもそのままに保った乾燥ホップが出来上がりました。

そして、ホップ栽培が成功したことを受けて、2020年8月20日に「合同会社ビアホップおおいがわ」を設立。 また、同年9月30日には、旧やまゆりの建物を利活用して醸造所を開設するための提案書を島田市へ提出しました。 収穫し乾燥させたホップは、 掛川市にあるカケガワファームブリューイングへ委託して、「島田ドライホップビール」(試作品)を限定醸造し、 同年12月26日~27日の両日で島田市地域交流センター歩歩路(ぽぽろ)にて来場した住民へ販売し、 地元で栽培したホップを広くアピールすることができました。

また、島田市、藤枝市、焼津市の志太3市が連携して、 起業家の輩出を目的として実施している「志太ビジネスプラングランプリ」にも挑戦しました。 この催しは、起業・創業を目指す起業チャレンジャーのビジネスプランを募集し、優秀な提案を表彰するというもの。 「ローカルビールで地域と産業をつなぐ ~地産ホップから地ビールと地域づくりへ~」と題して、 静岡県では根付き難かったホップづくりの成功を通じて、 ビール造りにも挑戦し、地元を活性化する地場産業として盛り上げて行こうという内容で応募し、 2021年2月3日に開催された「第8回 志太ビジネスプラングランプリ」の最終審査会で見事に、 小林さんがグランプリに輝きました。

次に醸造長を紹介します。193 VALLEY BREWINGの醸造長 渡辺 威夫(わたなべたけお)さんは、東京都江戸川区の出身で、 地域おこし協力隊との二足の草鞋を履く醸造家です。 渡辺さんは、東京農業大学を卒業後、IT企業に入社して、システムエンジニアとして勤務していました。
そんな渡辺さんがビール造りに参画しようと考えた動機は、 学生時代から関わりのあった地域に貢献したいという想いからでした。 実は渡辺さん自身、元々そんなにビールが好きだったという訳ではなくて、 伊久美地区を盛り上げて行きたいという想いから、その手段の1つとしてビール造りを選んだと言います。 「ビール造りを通して地域に貢献して行きたいと思った。」と語っていました。

渡辺さんが初めて伊久美地区を訪れたのは、大学在学中のこと。東農大が事務局となり、 環境保全や食の安全性に関わる課題解決を目的に世界各地の大学が連携する「世界学生フォーラム」の活動の一貫で、 2011年12月に伊久美を訪れました。 そこではミーティングが開かれ、それからも何度か伊久美を訪れては、お茶の栽培研修を受けたり、 販路拡大について検討したりと、活動を続けていきました。 そうして地元の人たちと触れ合っていく中で、いつしか自分にとって心地良い場所だと感じるようになり、 それ以来伊久美地区とのつながりを大切にするようになりました。

渡辺さんは、勤務していたIT企業を2018年6月末に退職し、伊久美に住居を構え、東京との2拠点生活を始めました。 そして、2020年11月には伊久美地区の「地域おこし協力隊」に正式に決まり、 向こう3年間の契約で活動をスタートしました。(任期: 2020年11月1日~2023年10月31日) 主な活動内容は、地域行事への参加、運営支援、関係人口の創出、移住・定住希望者の受入、各種団体の活動支援、 協力隊の活動に関する情報発信などです。 そんな中、旧やまゆりを改装して醸造所を開業するに当たり、 ビール醸造を担当する「ブルワーを紹介してくれないか?」という相談が小林さんから渡辺さんのもとへ持ち掛けられました。 渡辺さんは、迷わず自ら志願し、醸造長が決定しました。 そして、ビール造りを1から学ぶため、 静岡県掛川市にあるカケガワファームブリューイングへ研修に行きました。

2021年6月1日には、旧やまゆり(伊久美農産物加工体験施設)の使用許可が降り、 193 VALLEY BREWINGの拠点として正式に使用することができるようになりました。 それから改修工事が始まり、同年8月22日には館内へ醸造設備を搬入。 大阪サニタリーを通じて中国製プラントを購入しました。 2021年10月22日に、酒類等製造免許(発泡酒)を取得。 そして、同年10月24日にはビールの醸造に先駆けて「193 VALLEY BREWING」をプレオープンし、 そこを会場に地元の木工品・陶芸品・草木染めなどのクラフトショップが一堂に会する『いくみクラフトマルシェ』が開催され、 いつもは静かな山間の建物に賑わいが訪れました。 この『いくみクラフトマルシェ』を企画したのは、地域おこし協力隊としての渡辺さん(醸造長)でした。

同年11月17日にはいよいよ渡辺さんによる初仕込み。カケガワファームブリューイング醸造長の西中さんも駆け付け、 無事仕込みを行ないました。完成したプロトタイプのペールエールは、同年12月22日に関係者限定でお披露目しました。 続いて同年12月26日には、遂に「193 VALLEY BREWING」のグランドオープンの日を迎えることができ、 地域住民限定ではありましたが、3種類のプロトタイプビール(※1)の販売に漕ぎ付けました。 ※1: 193ペールエール#1、193ペールエール#A、193ハードセルツァーish Null
それから年が明けた2022年2月5日には、一般向けの製品第1弾「モザイクレモネード」を販売開始。 同年4月24日には、伊久美産ホップを使った「スプリングレイン」を発売しました。

「193 VALLEY」の名の由来は、山間部の谷間にある伊久美(いくみ)を数字で表現したものです。 また、ロゴのデザインは、フクロウが伊久美で身近に生息している鳥であることや、お腹の柄とホップが似ていたこと、 福を呼ぶ鳥として世界中で愛されていることなどからこのデザインを採用しました。

193 VALLEY BREWINGの今後について小林さんへお尋ねすると、 「外(建物の裏側)でBBQハウスの営業を開始する。そこへ集客して地元食材を出し、自家製ビールを飲んでもらう。 (グラウラー持ち込みでの)ビールの量り売りを開始する。 大久保キャンプ場に冷蔵庫を設置してあるので、そこでもビールの取り扱いを始めたい。 KADODE OOIGAWA(※2)にはタップが5本あって、 その内の2本に(193 VALLEY BREWINGの)ビールをつなげる予定。」と語っていました。
※2: 島田市内にあるKADODE OOIGAWAは、 大井川流域の農作物を集めた県下最大級の体験型フードパークで、 マルシェ、産直レストラン、カフェ、遊び場、お茶の体験コーナーなどが入っています。

小林さんのご厚意で醸造設備を見せてもらいましたので、ご紹介致します。


醸造設備  【1パッチ(1ロットの生産量)が300リットル】


仕込み設備
左側が糖化槽(マッシュタン)兼ろ過槽(ロイター)、 右側が煮沸槽(ケトル)兼ワールプール


左側の3つのタンクが発酵&貯酒タンク、 一番右側が冷水タンク


300リットルの発酵&貯酒タンクが3基


冷水タンク


貯湯タンク(ホットリカー)


麦芽の粉砕機(ミル)


代表 小林 浩樹さん


醸造長 渡辺 威夫さん


ビアホップおおいがわのこれまでの経緯は、以下の通りです。
2020年8月20日「合同会社ビアホップおおいがわ」を設立
2021年10月22日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2021年10月24日「193 VALLEY BREWING」をプレオープン
2021年11月17日初仕込み
2021年12月26日「193 VALLEY BREWING」にグランドオープン
地域住民限定で3種類のプロトタイプビールを販売開始
2022年2月5日一般販売向けに「モザイクレモネード」を販売開始


ビアクルーズ管理人の一言:
2022年4月、静岡県島田市の伊久美地区にある「193 VALLEY BREWING」を訪れて、店舗や醸造所を見せてもらいました。 「モザイクレモネード」、「スリープレス イン シマダ」を自宅で飲みました。
小林さんには、お心遣いを戴き感謝しています。



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