Beto Coco Brewing（ベトココ ブリューイング）は、福井県あわら市へ2023年に誕生したマイクロブルワリーです。 Beto Coco Brewingのあるあわら市は、福井県の北端に位置し、 1884年（明治17年）に開湯した芦原温泉が有名で、越前そばやスイカ、メロンの産地としても知られるところです。 そうしたあわら市で、クラフトビールの本場アメリカで様々なビールに触れ、 老舗クラフトビールメーカーで修行したという醸造家がはじめた醸造所が、Beto Coco Brewingです。 こじんまりとした店内は、カウンター席が設けられており、ガラス越しに醸造所を眺められる趣向になっています。 ＩＰＡを中心に果物やはちみつなど地元の素材を使ったビールを提供しており、 持ち帰り用には500ml缶も販売しています。

Beto Coco Brewingでは、 原材料にイギリス産、ドイツ産、アメリカ産の麦芽とアメリカ産、ニュージーランド産、および国産のホップを使用し、 地元 あわら市の水を仕込み水として使用して醸造しています。 国産ホップは、福井県おおい町にある早川農園のホップを使用しています。

Straight Ahead Pale Ale	Grass Hopper	MOTUEKA TOUCH
El Dorado	Rudy Ale	あめふりブリュー

Beto Coco Brewingでは、フライドポテト、スパイシーポテト、ミックスナッツ、チーズとサラミ、 オリーブなどのおつまみを用意しており、出来立てのビールと合わせて味わうことができます。

福井県あわら市内で｢Beto Coco Brewing｣を起業し、クラフトビールの醸造、店舗の運営を行なっているのが、 伊藤 実男（いとうじつお）さん、美咲（みさき）さんご夫妻です。
オーナー兼ブルワーの実男さんは、地元 あわら市（旧 金津町）の出身で、 以前はアメリカでミュージシャンをしていたという異色の経歴をもつ醸造家です。 一方、妻の美咲さんは、あわら市（旧 芦原町）の出身で、 アメリカに在住していた頃に飲んだ本場のクラフトビールに魅了され、 日本でもクラフトビールをつくりたいという想いを成就させビール造りを始めたという醸造家です。

お二人は結婚後、2012年にアメリカへ渡航、３ヶ月ほどアメリカで過ごしました。 それがきっかけとなり、実男さんはミュージシャンとしてアメリカへ渡りたいという想いから渡航資金を貯め、 2014年に夫婦揃ってニューヨークへ移住。現地ではドラマーとして活動し、ジャムセッションに出演することもありました。 そうしたアメリカでの生活の中で、パブやビアガーデンを訪れることがあり、 本場アメリカのクラフトビールの美味しさに衝撃を受けたと言います。

やがて美咲さんは、｢（クラフトビールを）自分たちでも、造れないか｣と考えるようになり、 ｢日本に戻ってビールをつくってみたい｣という想いを伝えると、実男さんも｢おもしろそうだ｣と賛同してくれました。 そして、実男さんがその頃体調を崩していたこともあり、2018年に日本へ帰国することにしました。 帰国後は、国内のマイクロブルワリーを見て周ることにして、 ブルーミン（富山県氷見市）やまめまめびーる（香川県小豆島町）、 石見麦酒（島根県江津市）などを見学して歩きました。 そして、本格的にビール造りを学ぶため、2020年に静岡県御殿場市へ移り、 御殿場高原ビールの製造元であるＧＫＢ株式会社に入社、１年半ほど勤務ました。

御殿場での修行を終えあわら市へ戻ると、いよいよBeto Coco Brewingとしての活動を開始。 手始めにイベントへの出店からスタートすることとし、 2022年1月8日に北欧家具や雑貨を扱う福井市内の家具店｢EPISO｣が開催したイベントに参加し、 アメリカのクラフトビールやハードサイダーの販売をはじめました。 年が明けると店舗の準備も着々と進み、2023年6月4日にはビールの醸造に先駆けて｢Beto Coco Brewing｣をオープンしました。 2023年6月27日に、酒類等製造免許（発泡酒）を取得。 同年9月13日には初仕込みに臨み、1stバッチの｢CLEO’S NEEDLE｣（クレオズニードル）が完成すると、 同年10月7日にタップルームでの販売に漕ぎ着けました。

｢Beto Coco｣の名の由来ですが、"Beto"は福井の方言で｢土｣を意味します。 そして、ビールということで南の島をイメージした時に、ココナッツが頭に浮かんだことから"Coco"をとり、 お客様にゆったりとビールを楽しんで欲しいという想いを込めてネーミングしました。 実はこの"Beto"については、以前 2008年頃から３年間ほど美咲さんが、 キッチンカーでベーグルとコーヒーの販売をしていたことがあり、 その当時のキッチンカーの名称が｢Beto Cafe｣と言いました。 それが、現在のBeto Coco Brewingの名称のルーツにもなっています。

Beto Coco Brewingの今後についてお二人にお尋ねすると、 ｢地元の人たちに、クラフトビールの存在をもっと知ってもらいたい。そして、クラフトビールを楽しんで欲しいと思う。 そのために、自分たちは美味しいビールを届けられるよう努力して行きたい。 現在、缶製品は福井県を中心に石川県、神奈川県、静岡県などへも出荷しており、少しずつ拡大して行きたい。｣と、 語ってくれました。 また、仕込みの工程で出る麦芽粕を、養鶏場や農家に引き取ってもらう試みを進めており、 養鶏場ではニワトリのエサとしてリサイクル利用してもらっています。 Beto Coco Brewingの店舗では、そのニワトリが産んだ卵も販売しています。

伊藤さんご夫妻のご厚意で醸造設備を見せてもらいましたので、ご紹介しましょう。

ビアクルーズ管理人の一言：
2024年8月、福井県あわら市にある｢Beto Coco Brewing｣を訪れて、６種類のビールを購入して、自宅で飲みました。