RICE HACK BREWERY


ブルーパブ名: [パブなし]
ビールの種類: 雅 -MIYABI- (ライスエール)
醸造開始: 2025年5月26日
URL: https://ricehack.jp/
Facebook: Rice Hack Brewery
instagram: ORYVIA @ RICE HACK BREWERY

製造元: 株式会社RICE HACK
電話番号:
住所: 三重県桑名市長島町福豊905番地

RICE HACK BREWERY(ライスハック ブルワリー)は、三重県桑名市へ2025年に誕生したマイクロブルワリーです。 ここで製造する「ORYVIA」(オリビア)というブランドのビールは、 麦芽を一切使用せず米原料のみを使用し、日本酒造りのノウハウを発展させた独自製法で醸造するビールです。 お米のみで造られるビールであることから、100%グルテンフリーが特長となっています。 ORYVIAは、桑名市内の酒販店、もしくはオンラインショップにて購入することができます。

RICE HACK BREWERYでは、 原材料に国産の米、米麹とアメリカ産、オーストラリア産、ニュージーランド産のホップを使用し、 桑名市の水を仕込み水として使用して醸造しています。 原料のお米は、酒米ではなく、食用のうるち米を使用しており、その産地や銘柄は様々です。
また、「ORYVIA」シリーズは、すべての液種で100%グルテンフリーを実現しています。

雅 -MIYABI-


RICE HACK BREWERYを運営する株式会社RICE HACKは、クラフトビールの製造・販売を手掛ける個人企業です。 株式会社RICE HACKの代表取締役 道口 靖央(どうぐちやすひろ)さんは、茨城県笠間市の出身で、 あることがきっかけで「お米からできるビール」を発想し、研究の末に製品化に漕ぎ着けたという研究者であり、醸造家です。 道口さんは、笠間市で生まれた後、すぐに神奈川県海老名市に移り高校までそこで過ごしました。 幼少期から食べ物に興味を持ち、レシピや料理番組を見ては自分で作ってみることが好きでした。 やがて食品に興味を持つようになり、高校卒業後は京都大学の食品系に進学。 大学院へ進むと食品科学を専攻し、食品の食感や味、香りなどを幅広く学びました。 卒業後は、株式会社ロッテ(本社 東京都新宿区)に就職し、菓子の新商品開発を担当します。 そこでは、世の中になかった全く新しい商品の開発に携わった経験から、モノを0から生み出す素晴らしさを知りました。

転機が訪れたのは2016年のこと。利き酒師の資格取得の勉強をしていた時に、 ふと「お米ビール」が脳裏に浮かび、妄想を膨らめていきました。 「お米で造る日本酒が美味しいのだから、 ビールをお米で造ったら今までとは違う美味しいものが出来上がるのではないか」と思いました。 そしてあらゆる穀物毎のビールが可能なのではないかと、さらに妄想は膨らんで行きました。 そうして、味、造り方などを想像しているうちに面白くなり、「造ってみたい」という気持ちが湧いてきて、 製造に必要な知識と技術を身に付けるため、ワイン、ビール、日本酒の三大醸造酒すべてを学んでみることにしました。

まずは知見を広げたいと考えて海外に飛び出すことにしました。 言葉の問題から英語圏の国を検討した時に、 アメリカ合衆国はワーキングホリデーのビザがなく働くことができないのと、カナダは緯度が高く寒いので却下。 一方でオーストラリアは気候も良く、ビール産業が盛んな土地柄でもあることからオーストラリア行きを決め、 それまで勤務していた会社を2019年9月末で退職し、同年11月に旅立ちました。 オーストラリアでは、滞在費用を稼ぐためいろいろな仕事に就き、その数は10軒ほどに達しました。 その中には、ワイナリーやブルワリーもあって一から醸造を学ぶことができました。 それと同時に、お米を使ったビールの試作にも挑戦することができ、 トライアンドエラーを繰り返しながら試作を進めていきました。 ほぼ2年間に亘りオーストラリアで過ごした後、2021年10月に帰国すると、 今度は日本酒造りを体験するため福井県に向かいました。 福井県大野市にある「花垣」で知られる酒蔵「株式会社南部酒造場」に短期で働かせてもらうことにしました。 翌年5月までの期間でお米の旨みを出す方法や糖化をコントロールするヒントなどを習得しました。 2022年5月中旬には、さらに資金を貯めるため、避暑を兼ねて北海道のトマム(北海道勇払郡占冠村)へ働きに行きました。

ある程度資金の目途が立つと、以前勤務していたロッテの取引先で、 愛知県名古屋市に本社を置くノザキ製菓株式会社との縁あって、愛知県に移ることにしました。 (※ノザキ製菓は、チューイングガム、チョコレート、キャンディ、健康食品などを製造) そして、愛知県名古屋市西区の五才美に試験醸造のための場所を借りて、試験醸造の準備を開始します。 ノザキ製菓の社長である野嵜 伸夫さんの支援で、 2023年8月にSs Brewtech(エスエス ブリューテック)社の醸造設備をアメリカから輸入しました。 2023年12月22日には、五才美研究所として酒類等製造試験免許(発泡酒、その他の醸造酒)試験免許を取得。 ここで、お米を使ったビールの試作を何度も行ない、試作を続けること半年、 オーストラリアでの試作から換算すると200回以上の試作を経て、遂にお米ビールが完成しました。

そして道口さんは、このビールのブランド名を「ORYVIA」(オリビア)と命名しました。 「ORYVIA」というネーミングは、ラテン語でお米を意味する「ORYZA」(オリザ)と、 「BEER」(ビア)を「VIA」と表現した造語です。 「VIA」には「~を通して」という意味があり、お米を通して社会に貢献したい気持ちを込めています。 そして、2024年1月には、株式会社RICE HACKを設立。 社名やブルワリー名にもなっている「RICE HACK」とは、「ビールをRICEでHACKする」という思いを込めて命名しました。 その後、同年6月に自社ホームページを開設。 そして、ノザキ製菓の長島工場の建屋を借りることができ、三重県桑名市の長島町へ醸造所を構えることにしました。 2025年2月には醸造設備を搬入。2025年3月25日に、酒類等製造免許(発泡酒)を取得。 同年4月~5月に掛けて、五才美研究所の醸造設備も移転しました。 また、資金調達のために同年5月2日~6月15日の間で、クラウドファンディングを実施します。 同年4月13日には初仕込みに臨み、1stバッチとなる「ORYVIA」シリーズの第一弾「雅 -MIYABI-」が完成すると、 構想から9年、同年5月26日に自家醸造ビールの卸販売を開始しました。

「ORYVIA」には、100%米原料であることから以下の特筆すべき4つの特長があります。
1.自給率ほぼ100%
2.米の消費に貢献
3.グルテンフリー
4.アレルゲン不使用

1つ目の「自給率ほぼ100%」ですが、ORYVIAはあらゆる国産米を原料としており、 米は穀物類の中で唯一自給率が100%に近い農産物であることから、輸入小麦のような海外情勢により高騰するリスクもなく、 コストや生産量において海外情勢の影響を受けにくいメリットがあります。

2つ目の「米の消費に貢献」ですが、ORYVIAでは酒米でなく食用のうるち米を原料とすることから、 食用の米の消費拡大に寄与し、将来的に米の消費量増加につながれば、市場変化へ柔軟に対応できるようになります。

3つ目の「グルテンフリー」ですが、日本ではあまり話題にならないのですが、 海外には体質によってグルテンを摂取することのできない方が数多くいます。 若い頃は何ともなかったのが、ある時からグルテンへのアレルギー反応が出るようになり、 ビールを飲めなくなってしまった方もいます。 そんな方々にクラフトビールをもっと楽しんでもらえるようになることも、 米原料のみを使用する目的の一つとなっています。 また、そうしたグルテンフリーを特長として押し出している理由として、 海外進出をメインターゲットにしていることがありました。 それは「海外の日本料理店にORYVIAを置きたい」という想いがあり、 海外では「グルテンフリー」を意識される傾向があることから、こだわって来ました。 ただ、「海外がターゲットであれば、海外で醸造すればよいのでは?」という考え方もあります。 日本では入手が煩雑な原材料も海外ならスーパーマーケットで普通に販売されており、 試験醸造もホームブリューイングが発達していることから、いつでもどこでも始められます。 だから、「オーストラリアの方が造り易かったのではないか?」と考えるのが普通です。 しかし、道口さんは、あえて日本に貢献したいという気持ちがあって、 それゆえに日本にお金を落としたいと考え、国内での生産を決めました。

4つ目の「アレルゲン不使用」ですが、米はアレルギー特定原材料等28品目には該当しないため、 グルテンフリーと同様に食物アレルギーを持つ方々でも、安心してビールを楽しんでもらえます。

道口さんに今後のRICE HACK BREWERYについてお尋ねすると、 「ビールの定義を広げて行きたいと思う。(※1の画像を参照) 日本はビール造りの研修の場が限られている。ほとんどが麦芽を原材料としている。 もっと自由な発想でビールを造っても良いのではないか?、麦芽原料にこだわって造る必要はないのでは?、 その最初の一歩になれたら良いと思う。」と語ってくれました。


[※1]ビールの原材料の広がり
※出典: RICE HACK BREWERYのクラウドファンディング サイトより

道口さんのご厚意で醸造設備を見せてもらいましたので、ご紹介しましょう。


RICE HACK BREWERY





RICE HACK BREWERYの工場内


醸造設備  【1バッチ(1ロットの生産量)が500リットル】
醸造設備は、中国のMETO BEER EQUIPMENT CO., LTD.社のプラントを採用


仕込み設備
左手前のタンクが、糖化槽(マッシュタン)兼、ろ過槽(ロイター)
右奥のタンクが、煮沸槽(ケトル)兼、ワールプール


貯湯タンク(ホットリカータンク)


冷水タンク


500リットルの発酵タンクが3基


500リットルの熟成タンク(BBT)


ボトルの充填機(ボトラー)


ラベラー


プレハブ冷蔵庫


ケグの洗浄機


道口 靖央さん



RICE HACK BREWERYのこれまでの経緯は、以下の通りです。
2024年1月株式会社RICE HACKを設立
2025年3月25日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2025年4月13日初仕込み
2025年5月26日自家醸造ビールを販売開始

ビアクルーズ管理人の一言:
2025年7月、三重県桑名市にある「RICE HACK BREWERY」の醸造所を訪れて、 その後同市内の「川出酒店」で、RICE HACK BREWERYの1stバッチである「雅 -MIYABI-」を購入し、自宅で飲みました。



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