栃木マイクロブルワリー


ブルーパブ名: 栃木マイクロブルワリー 醸造所&ビアカフェ
電話番号: 028-622-1314
住所: 栃木県宇都宮市東塙田1-5-12
定休日: 火水曜休
営業時間: 11:00~21:00
ビールの種類: オリジナル限定ビール(発泡酒)
営業開始: 2008年7月25日
アクセス: JR東北本線、東北新幹線、日光線/宇都宮駅から徒歩15分
宇都宮駅から関東バスで4分、「塙田十文字」バス停から徒歩1分
URL: http://www.beatclub.jp/microb/
Facebook: 栃木マイクロブルワリー
Online Shop: http://www.beatclub.jp/microb/order.html

製造元: 栃木マイクロブルワリー
電話番号: 028-622-1314
住所: 栃木県宇都宮市東塙田1丁目5番12号



栃木マイクロブルワリーは、栃木県宇都宮市へ2008年に誕生したマイクロブルワリーです。 JR宇都宮駅から歩いて15分程度の宇都宮市街地に醸造所と併設のビアカフェを構えています。
100リットルという小規模な醸造タンクを駆使し、仕込み回数を増やして様々なビール造りに挑戦し続けることで、 いろいろな風味や香り、味わいを持つ、バリエーションに富んだビール造りができることを強みとするブルワリーです。 よってここでは、ビアスタイルには一切こだらわない自由な発想のもとに醸造を続けています。
記念品や結婚式のお祝いなどに使われるマイラベルのオリジナルビールも、小ロットから受注生産しています。 また、これまで多くの醸造家の卵がここで修行して、日本全国のブルワリーへ巣立って行きました。
栃木マイクロブルワリーの店内は、カウンター席がメインで、正面にはガラス越しに醸造設備が眺められます。 基本的には、ビールの販売のみとなっており、おつまみやお料理は各自持ち込み自由となっています。


栃木マイクロブルワリーがある建物


栃木マイクロブルワリー





栃木マイクロブルワリーの店内


カウンターには3つのタップ

栃木マイクロブルワリーでは、これまでのビールの概念を覆す、様々な味わいのビールを造り続けています。
定番ビールは造らずに、常にお客様のリクエストで様々な材料から様々なアイデアを使ったビールを 100リットルタンクという小ロットで醸造しています。 店内の掲示板には、「飲みたいビール」のリクエストが貼り出されており、 10票集まるとその材料で仕込むというシステムになっています。


「飲みたいビール」のリクエスト状況を掲示板で確認できます


栃木マイクロブルワリーは、副原料に栃木県産の豊富な農産物を利用し、 野菜・果物・ハーブ・スパイスなど多種多様な材料を使って製造していますから、 ビールスタイルに拘らないオンリーワンビールが次々と生まれてきます。 1回のロットで販売できる本数には限りがありますが、それだけに価値があるものばかりなのです。

知ってっけ
(ブラウンエール)

サンライズ

ハミング
(ペールエール)

地道
(ブラウンエール)

紫式部
(スタウト)


栃木マイクロブルワリーでは、ビールの受託生産(OEM)を中心に行っていて、 その受託先は業者から個人まで幅広く対応しています。 業者対応(BtoB)では、ビアパブや酒販店のオリジナルビールや、プライベートブランドのビールの受託が主となり、 一方、個人対応(BtoC)としては、記念品や結婚式の引出物、お祝い品などの需要が多数を占めています。 月々の受託数は、おおよそ平均10件/月程度で、 その割合は栃木マイクロブルワリーの年間生産量のなんと8~9割にも達しています。 よって、ここで造られるビールのほとんどがオーダー品、つまり受託によるOEM供給と言うことになります。
実は、これが栃木マイクロブルワリーの経営を安定させるビジネスモデルになっているのです。 今では、オリジナルビールを注文してくれる栃木県内の常連の酒販店だけでも10軒を超えています。 こうした経営により、醸造所併設のビアカフェが常に満員でなくても、 またはフード類のように粗利を稼げる商品を扱っていなくても、経営を安定化させられるようになっています。
それでも、直接顧客と接して様々な意見を聴くことができるアンテナショップとして、 醸造所併設のビアカフェは顧客との距離を縮める大切な役割を果たしており、 いつもオーナーの横須賀さんが自らカウンターに立ってビールを注いでくれるという訳です。
主なOEM供給先としては、
「ハッピーあすぱら」(道の駅 会津西街道 たじま/福島)、
「ゆずビール」(吉田屋酒店/栃木)、
「日光山椒プレミアム」(三本松茶屋/栃木)、
「ライトエール」(日野屋酒店/栃木)、
「ライトエール」(月井酒店/栃木)、
「温泉ビール」(リゾートショップ ブレス/栃木)
などがあります。


栃木マイクロブルワリーの代表兼、醸造責任者、 また、宇都宮ブルワリーの代表取締役を兼任する横須賀 貞夫(よこすかさだお)さんは、栃木県宇都宮市の出身で、 かつては那須高原ビールや日光ビールの立ち上げにも参画したことがあり、 そこでビール造りの経験を積んで来た方です。
そして栃木県をクラフトビールで盛り上げて行きたいという意気込みを持って、横須賀さんは日々活動しています。

そんな横須賀さんがビール造りを始めた経緯を振り返ってみましょう。 横須賀さんは学校を出た後、初めはレコード店を始めました。 元々、横須賀さんの実家は宇都宮市内で電気店を営んでいたこともあり、その流れで22歳で同市内へレコード店を開業。 しかし、元々モノづくりが好きだった横須賀さんは、レコード店を続けるうちに、 モノを売るだけでは物足りなさを感じはじめ、 何かモノづくりで生計を立てたいと思うようになりました。

そうしていろいろ考えているうちに、『酒を造る人がいいなぁ』と思いついたのですが、 日本酒は既にいくつもの酒蔵があって、何人もの杜氏が造っているので道のりも遠そうだし、 ワインはぶどうの生産から取り組もうと考えると大変そうだしと、あれこれ考えていたところ、 1994年の酒税法の規制緩和が訪れました。 それを知った横須賀さんは、『これからは、ビールが自分のところで造れるようになるんだ!!』と思いました。
日本酒やワインは、既に造り手が多く存在しており、たとえその道へ進んでも、 従業員にはなれても自分が経営するのは難しいけれど、 ビールなら国内においてはどこもこれからなので、自分でもいつかは経営者に成れるのではないかと感じていました。

ちょうどその頃は、レコードからCDへの転換期でもあり、現在のようなネット配信なども全くない時代だったので、 まだしばらくは音楽媒体でメシを食っていける時代ではありましたが、 当時30歳だった横須賀さんは、モノづくりに惹かれていたこともあり、ビール造りを始める決心をしました。

その当時、栃木県内では、ろまんちっく村と那須高原ビールが、 地ビールの製造へ乗り出そうと準備を始めていました。 横須賀さんは、最初の10年くらいはしっかりした資本の元でビール造りの経験を積んで、 その後に自分のブルワリーを持ちたいと考えていました。 そこで地元のろまんちっく村へブルワーの採用があるか確認したところ、 既に大手ビールメーカーからの人材登用が決まっていました。 そこで、次は那須高原ビールの社長のもとへ電話をして、『ビール造りをやりたい』と告げたところ、 会ってもらえることになり、その結果、那須高原ビールに採用が決まりました。

そして、那須高原ビールへ入社すると、まずは醸造所の立ち上げから始まりました。 1995年にはビールの醸造法を学ぶために、 規制緩和後に国内で最初にビールの販売を始めていた新潟県巻町にあった「エチゴビール」へ研修に行きました。 そうして試行錯誤の連続で初めての体験が続く中で醸造準備が整うと、1996年10月には遂に那須高原ビールでの製造・販売に漕ぎ着けました。
その後、横須賀さんは、栃木県日光市にあった「日光ビール」の立ち上げにも参画しました。 ここでも、準備段階から参加し醸造所の立ち上げの支援を行って、1999年5月に製造・販売を開始しました。

こうして醸造家としての10年間が過ぎて行き 2000年代後半に入ると、 今度はいよいよ自分のブルワリーの立ち上げに向けて準備を開始しました。 そうして、2008年7月には宇都宮市内へ自らオーナーを務める栃木マイクロブルワリーをオープンしました。 ビール造りを志してから足掛け13年を経て、ついに自分のブルワリーの開業に漕ぎ着けることが出来たのです。



ここからは、栃木マイクロブルワリーでの製法の話に移ります。
栃木マイクロブルワリーでは、ビールの仕込みを終えて、 発酵タンク内にて1次発酵が完了するとすぐに樽詰め/瓶詰めを行って、 冷蔵庫に保管した状態で樽内および瓶内で2次発酵をさせる方式を採っています。 そうして2次発酵が終わると、さらに温度の低い熟成用の冷蔵庫へ移して、冷蔵庫内で熟成させてから出荷しています。
ここでは、1バッチ(1回の仕込み)で 100リットルを生産しており、 週に3回程度の仕込みを行っています。

横須賀さんのご厚意で醸造設備を見せて戴きましたので、ご紹介します。


醸造設備


仕込み設備
中央の釜が糖化釜(マッシュタン)兼、ろ過槽(ロイター)
左側の釜が煮沸釜(ケトル)兼、ワールプール、 右側がホットリカーです


1次発酵用の100リットルタンクが3基


右手前が2次発酵用の冷蔵庫、 正面が熟成・貯酒用のプレハブ冷蔵庫です

栃木マイクロブルワリーのもう1つの顔として、 明日のビール造りを志す新進ブルワーの養成所としての役割を持っています。 ここでビール造りを学び巣立って行った後に全国のブルワリーで活躍している醸造家を、 これまでに数多く輩出して来ました。 栃木マイクロブルワリーを開業してからしばらくは、 そうした醸造家を志す人たちからの相談に乗ってあげる程度でしたが、 2015年からは本格的に醸造家の育成にも力を入れ始めて、年間10名程度を受け入れて、 それからの3年間で30名の新進ブルワーを輩出して来ました。

最近では、他のブルワリーでビール造りを学んだブルワーたちが相談に訪れることも増えてきており、 新たにブルワリーを立ち上げようと検討している彼らたちからすると、 栃木マイクロブルワリーの規模が参考にするのに丁度良いと見られていることが、どうも理由のようです。
そうした時に横須賀さんは、まずはマイクロブルワリーの経営面から相談に乗ってあげるようにしているそうです。 ここを訪れる新進ブルワーたちのほとんどは、 マイクロブルワリーの経営がよく分かっていないことが多いからだそうです。

横須賀さんは、そうした新進ブルワーに対して開口一番「いくら給料が取りたいの?」と、まず聴きます。
※この「給料」とは、ビールの販売売上から原材料費や家賃/光熱費、人件費などの経費を差し引いた、 自分自身に入る実入りを指しています。
そして、「給料は、20万円/月欲しいのか?、 それとも 50万円/月欲しいのか?」と質問は続きます。 逆にそれだけの実入りを出す為には、どの程度の売上が必要なのか?、 どの程度の規模で経営する必要があるのかについて、説明して行きます。 そうすると、多くの新進ブルワーたちは、自分が想像していた実入りよりも少ないことに、驚く人が多いようです。 そうして、何人かはブルワリーの経営を諦めて帰って行きます。

やはり、ビール造りには、初期投資が必要であり、その後の利益率の維持にも大変な努力が必要となります。 開店当初は珍しさから客入りも良かったりしますが、やがて飽きられてしまうかもしれないので、 常に顧客の期待に応えられるよう変化していかなければなりません。 これは、ビール造りに限ったことではありませんが。
こうした活動を通して横須賀さんは、将来のブルワー育成にも時間を裂きながら、 クラフトビール業界の発展を心から願っているのです。


横須賀 貞夫さん

栃木マイクロブルワリーの姉妹店となる「BLUE MAGIC」(ブルーマジック)を、 東武宇都宮駅近くへ2013年7月25日にオープンしました。 ここは、栃木県産のクラフトビールのアンテナショップの役割を持たせており、 栃木県内のすべてのブルワリーのビールを取り扱うことをモットーにしています。
そして、BLUE MAGICの店舗内に併設する宇都宮ブルワリーでも、 2014年3月よりビールの自家醸造を開始しました。


ビアクルーズ管理人の一言:
2011年4月、栃木県宇都宮市にある「栃木マイクロブルワリー」を初めて訪ねて、自家製ビールを飲みました。
♪♪♪
ビール造りの依頼人の中には、若い女性客もいるそうです。
その女性客は、彼氏のために特別なビールを醸造して、バレンタインデーにプレゼントしたそうです。
その男性は、幸せ者ですね。
こんなエピソードが生まれるのも栃木マイクロブルワリーならではのこと。
地ビールを探して、今日も素敵な場所と出会うことができました。



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