國澤麦酒


ブルーパブ名: KUNISAWA BREWING
電話番号: 03-3431-8380
住所: 東京都港区新橋5-31-7 2F
定休日: 無休
営業時間: 平 日: 17:30~22:30
土曜日: 15:00~21:00
日祝日: 15:00~20:00
ビールの種類:
新橋クラッシクラガー (ピルスナー)
新橋クラシックヴァイツェン (ヴァイツェン)
新橋W IPA (ダブル インディア ペールエール)
ポーター (ポーター)
ラズベリーサワーエール (サワーエール)
新橋ペールエール (ペールエール)
新橋IPA (インディア ペールエール)
新橋パンプキンエール (パンプキンエール)
新橋クラシックスタウト (スタウト)
ケルシュ (ケルシュ)
ゴールデンラガー (ゴールデンラガー)
銀座ゆずヴァイツェン (ヴァイツェン)
TAKANAWA CRAFT IPA (インディア ペールエール)
インペリアルスタウト (インペリアルスタウト)
新橋クラシックゴーゼ (ゴーゼ)
新橋ピルス (ピルスナー)
営業開始: 2022年5月14日
アクセス: 都営地下鉄 大江戸線、ゆりかもめ/汐留駅から徒歩10分
東海道本線、京浜東北線、山手線、横須賀線、東京メトロ 銀座線/新橋駅から徒歩10分
東京都営地下鉄 浅草線、大江戸線/大門駅から徒歩14分
URL: https://www.kunisawabrewing.tokyo/
Facebook: kunisawa_brewing
instagram: KUNISAWA BREWING Co.

製造元: 國澤麦酒株式会社  新橋醸造所
電話番号: 03-3431-8380
住所: 東京都港区新橋5丁目31番7号 Kビルディング1階及び3階

國澤麦酒(くにさわばくしゅ)は、東京都港区へ2022年に誕生したマイクロブルワリーです。 新橋駅の雑踏から少し離れた静かなオフィス街に佇むビルの1階~3階部分に、 國澤麦酒の醸造所と併設のブルーパブがあります。 「SHIMBASHI CLASSIC LAGER KUNISAWA BREWING Co.」と記された看板が掲げられ、 ブリティッシュパブを思わせる佇まいと、赤銅色の国内では珍しい横置きタンクがガラス越しに顔を覗かせています。 かつて、サラリーマンの聖地『新橋』では、夕方ともなると「とりあえずビール」の声が飲み屋に飛び交い、 大手メーカーのラガービールがジョッキで出される光景があちこちで見られました。 時は流れ時代は移れど、新橋と言えば「ラガー」というイメージは今も人の心に残り、 そうしたラガーへのこだわりから、國澤麦酒では「新橋クラシックラガー」をフラッグシップビールとして掲げています。 また、1階と3階が醸造所になっており、 大都会の真ん中にしてはかなり本格的な醸造設備を備えているところからも、國澤麦酒のこだわりが伝わってきます。 2階のブルーパブ「KUNISAWA BREWING」では、ビールとの相性の良い料理と、出来立てのビールを味わうことができます。


國澤麦酒のある「Kビルディング」


國澤麦酒のエントランス
2階がブルーパブ「KUNISAWA BREWING」で、1階と3階が醸造所になっています


建物に入るとすぐに2階への階段があり、右手には醸造設備が少しだけ覗けます


KUNISAWA BREWINGの店内








店内には、1960年製のドイツの活版印刷機が展示されています





キッチンルームには、12本のタップ

國澤麦酒では、原材料にイギリス産、ドイツ産の麦芽とチェコ産、アメリカ産のホップを使用し、 港区の水を仕込み水として使用して醸造しています。

新橋クラッシクラガー

新橋ペールエール

新橋IPA

新橋クラシックスタウト


KUNISAWA BREWINGのフードメニューは、 ミックスナッツ、ミックスオリーブ、サルサトルティーヤチップス、ビーフジャーキーなどおつまみメニューから、 フィッシュナゲット、エビとタコのアヒージョ、ムール貝のワイン蒸し、ソーセージ盛り合わせ、チリチーズポテト、 フレンチフライなどの一品料理、各種ピザや各種パスタといった食事メニューまで、 ビールとの相性の良い料理と、出来立てのビールを合わせて味わえます。


チリチーズポテト


國澤麦酒を運営する國澤麦酒株式会社(KUNISAWA BREWING Co.)は、 新橋を拠点にクラフトビールの製造・販売や、飲食店の運営を業容とする会社です。 そして、その國澤麦酒の母体となるのが、新橋で印刷業や文具販売を手掛けている株式会社河内屋になります。 河内屋は、1870年代に現在の港区内で商屋として創業し、1970年代からは印刷業を本業として成長を遂げ、 2020年代に入ると時代の変化と共に新規事業であるクラフトビール事業に取り組むようになりました。 河内屋の歴史を紐解くと、江戸時代後期に海運業から始まったと言われており、 大阪と江戸の間を船で鉄の運搬を担っていました。後に江戸へ拠点を移し、現在の白金付近で馬具商を営み、 その後、瀬戸物屋や炭仲買人等様々な商いを現在の港区の地で行っていました。 時代は流れて、第二次世界大戦後は新橋で活字の母型を鋳造する会社を立ち上げ、 1971年10月、総合印刷会社として「株式会社河内屋」を設立しました。

株式会社河内屋の代表取締役、ならびに國澤麦酒株式会社の代表取締役、醸造長を兼任しているのが、 國澤 良祐(くにさわりょうすけ)さんです。 國澤さんは、先代から印刷業を引き継ぎ、印刷業を通して、広告代理店、グラフィックデザイナー、カメラマン、 アーティスト等のクリエイティブなクライアントと共に、 様々なひらめきを印刷物というカタチに残すことを目指してきました。 また、2017年には文具ブランド「KUNISAWA」を立ち上げて、 上質で洗練されたデザインの文房具を世界20ヵ国以上に展開しています。

そんな國澤さんがクラフトビール事業を始めるに至った背景には、 若き日の体験やコロナ渦での経営基盤の立て直しなどかありました。 國澤さんは、1990年代前半頃にバックパッカーで北米や南米を周っていたことがあり、 訪れた先でホームブリューイングの存在を知りました。 そこで初めて自らビール造りを体験し、海外ではクラフトビール文化が日頃の生活に浸透していることを体感しました。 そして、日本に戻ったら新橋でクラフトビール造りをやってみたいという想いを抱きつつ、帰国の途に着きました。 その当時、1994年の規制緩和による酒税法改正によって地ビールが黎明期を迎えていましたが、 國澤さんはビール造りに身を投じるのは時期尚早と考え、先代からの事業を受け継ぎ、印刷業に打ち込むことにしました。

それから時は流れ、2020年頃からはコロナ禍で一気にリモートワークやペーパーレス化の波が押し寄せ、 ペーパークラフト事業は窮地にさらされることとなり、現在の事業の立て直しや事業の多角化に迫られました。 そこで印刷業で培ったクラフトマンシップと、30年来のクラフトビールへの想いが結実し、 新規事業としてクラフトビール事業の立ち上げを決意します。 とは言ってもクラフトビール業界のことには通じていなかったことから、 強力なアドバイザーとして坂本 健二さんの協力を得ることにしました。 坂本さんは、アウグスビール株式会社の代表取締役で、前職はキリンビール・アメリカの副社長という経歴の持ち主で、 ビールのスペシャリストとも言える方でした。 また、醸造技術の習得においては、Y.Y.G.FACTORYの醸造長だった遠藤 与志郎さんから様々な知識を学ぶことができました。

2021年5月6日には、國澤麦酒株式会社を設立。 河内屋の自社ビルの1階から3階部分を使って醸造所とブルーパブを設けることとし、フロア内の改築を進め、 2022年1月22日から2日間をかけて醸造設備を搬入。 設備は中国のTIANTAI(テンタイ、正式社名:Shandong Tiantai Beer Equipment Co., Ltd.)のプラントを導入しました。 また、熟成タンク(BBT)には、国内では珍しい水平貯蔵タンクを採用し、 4基のタンクを外からも見える位置に設置しました。海外ではラガービールの貯蔵に一般的に使われていますが、 国内では予算やスペースの観点から導入が進まず、希少なタンクです。 2022年4月1日には、酒類等製造免許(発泡酒)を取得。 また、同年4月8日~5月8日の間にクラウドファンディングを実施し、醸造設備の整備のための資金調達を図りました。

免許取得後、醸造の準備が整うと初仕込みに臨み、 「新橋クラッシクラガー」、「新橋クラシックヴァイツェン」、「新橋W IPA」の3種類が完成すると、 2022年5月14日にブルーパブ「Arts & Crafts Kawachiya」(後に、店名を「KUNISAWA BREWING」に変更)をプレオープンし、 自家醸造ビールのお披露目となりました。 そして同年5月25日には、ブルーパブ「Arts & Crafts Kawachiya」のグランドオープンを迎える運びとなりました。 ブルーパブの一角には、使い込まれた印刷機がドーンと置かれていて、 元は印刷業から派生して生まれたブルーパブであることを、思い起させてくれます。

國澤麦酒で醸造を担当するブルワーの糀原 翔太(こうじはらしょうた)さんは、千葉県袖ケ浦市の出身で、 海外での酒造事業に携わった経験を通して、それまで苦手だった酒類に興味が持てるようになり、 遂には醸造の道にまで進むに至ったという醸造家です。 糀原さんは、大学院時代に国際開発を専攻しており、 その流れで卒業後はラオスへ渡り、2016年からの約4年間に亘り蒸留酒事業の設立に携わりました。 糀原さんは元々アルコール類が苦手で、酒類は飲めませんでした。 その後、本格的に酒に関わるようになり、ラオスの蒸留酒の実態調査に取り組んだり、 ウィスキーやラムを始めとした洋酒にも触れるようになり、 少しずつ酒が飲めるようになると共に嗜好の幅を広げていきました。

また、ラオスのラオ・ブリュワリー社が製造する「ビア・ラオ」というラガータイプのビールは、 口当たりがとても軽くビールが苦手な人でも飲み易くできており、こんなビールもあるのかと初めて知りました。 そして、一口に"ビール"と言っても大手メーカーのものばかりでなく、 スタイルや造り手によって様々な種類があることも知り、次第にクラフトビールを口にするようになりました。 やがて、様々なビールを試していくうちに、数ある酒類の中でも、クラフトビールの世界がとても面白そうに思えて来て、 いつしかクラフトビールの醸造にも興味を抱くようになっていきました。

2020年初には、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で帰国することとなり、ラオスを後にしました。 帰国後もラオスの仕事に進展がみられなかったことから、 クラフトビールについてもっと知見を広げたいと思い情報収集を始めたところ、 たまたまクラフトビール醸造所の人材募集の記事を見つけました。 早速応募したところ、運よく採用が決まり、2020年10月にY.Y.G.FACTORY(千葉県千葉市中央区) を運営する株式会社Y.Y.G. BREWING COMPANYに入社することができました。 こうして糀原さんは、ビールの醸造技術を一から学ぶ機会を得ることができました。 丁度時を同じくして、Y.Y.G.FACTORYへビール醸造の研修に来ていた國澤さんと出逢い、 一緒に仕込み作業を行なっているうちに意気投合し、國澤麦酒の立ち上げに参加する運びとなり、2022年1月に同社を退職。 そして同年2月に國澤麦酒株式会社へ入社しました。

國澤麦酒のロゴマークの中心にある三本足のカラスは、 八咫烏(ヤタガラス)という日本の神話に登場する3本足の烏をモチーフにしています。 神武天皇が熊野の暗い道を抜ける際に、金色に発光して道案内をしたことから「導きの神」として信仰されています。 3本足は、「天」、「地」、「人」を意味し、同じ太陽から生まれた兄弟であることを示すと言われています。 そうした八咫烏は、未来を明るく照らし、世界を牽引していくビジネスパーソンの象徴であると考え、 ロゴに起用しました。

糀原さんに國澤麦酒のビールの今後についてお尋ねすると、 「ビールの質を上げることが基本。そうして、新橋クラシックラガーを広めて行きたいと思う」と語っていました。 それと、こぼれ話ですが、フラッグシップ銘柄である「新橋クラシックラガー」の命名者は、 アドバイザーとして協力を仰いだアウグスビールの坂本さんなのだそうです。 また、國澤麦酒ではクラフトビールに加え、クラフトジンの製造も準備中とのこと。

國澤さんのご厚意により醸造設備を見せてもらいましたので、ご紹介しましょう。


1階の醸造設備  【1バッチ(1ロットの生産量)が600リットル】
中国のTIANTAI(テンタイ、正式社名:Shandong Tiantai Beer Equipment Co., Ltd.)のプラント


左手前から、冷水タンク、仕込み設備(2基)、貯湯タンク(ホットリカータンク)


仕込み設備
左手前のタンクが、糖化槽(マッシュタン)兼、ろ過槽(ロイター)
右側のタンクが、煮沸槽(ケトル)兼、ワールプール


冷水タンク


貯湯タンク(ホットリカータンク)


600リットルの発酵タンクが3基


300リットルの発酵タンクが2基


780リットルの熟成タンク(BBT)が4基
珍しい横置きのタンクで、ラガービールに向いた水平貯蔵タンクを採用


ここからは、3階の醸造設備を紹介します

600リットルの発酵タンク×9基のうちの1列目の3基


600リットルの発酵タンク×9基のうちの2列目の3基


600リットルの発酵タンク×9基のうちの3列目の3基


麦芽の粉砕機(ミル)


クラフトジンの蒸留設備


クラフトジンの熟成タンクが2基


クラフトジンの冷水タンク


糀原 翔太さん


國澤麦酒のこれまでの経緯は、以下の通りです。
1971年10月株式会社河内屋を設立
2021年5月6日國澤麦酒株式会社を設立
2022年4月1日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2022年5月14日「國澤麦酒」をプレオープン
自家醸造ビールを販売開始
2022年5月25日「國澤麦酒」をグランドオープン
2024年9月9日酒類等製造免許(スピリッツ)を取得

ビアクルーズ管理人の一言:
2025年1月、東京都港区にある「國澤麦酒」を訪れて、自家醸造ビールを飲みました。



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