石見麦酒


ブルーパブ名: [パブなし]
ビールの種類: セッションIPA151 (セッション インディア ペールエール)
ベルジャンホワイト307 (ベルジャン ホワイトエール)
アメリカンペールエール520 (アメリカン ペールエール)
エクストラペールエール552 (エクストラ ペールエール)
セゾン778 (セゾン)
ドライスタウト960 (ドライスタウト)
サワーIPA L52 (サワー インディア ペールエール)
蛇舞 (ゴールデンエール)
鬼舞 (インディア ペールエール)
姫舞 (ホワイトエール)
醸造開始: 2024年7月初旬
URL: http://www.iwami-bakushu.com/
Facebook: 株式会社石見麦酒
instagram: 石見麦酒
Online Shop: http://shop.iwami-bakushu.com/

製造元: 株式会社石見麦酒  波子駅醸造所
電話番号: 0855-25-5740(本社)
住所: 島根県江津市波子町イ844番地6
アクセス: JR山陰本線/波子駅構内

石見麦酒(いわみばくしゅ)は、島根県江津市へ2015年に誕生したマイクロブルワリーです。 石見麦酒のある江津市(ごうつし)は、島根県の西部、石見地方に位置し、 日本海に面した海と山に囲まれた自然豊かななところです。 農業や林業、漁業、窯業などが主な産業で、 石州瓦(せきしゅうがわら)と呼ばれる伝統的な瓦の生産地として有名なところです。 その江津市内を東西に走るJR山陰本線に、無人駅である波子(はし)という駅があり、 その駅舎内に醸造所を構えるのが石見麦酒です。 石見麦酒は、地元の特産品を原料に使用した地域密着型のビール造りを進めており、 地域貢献と持続可能な事業展開を目指した地域活性化に貢献しているブルワリーの1つです。 石見麦酒のクラフトビールは、様々なスタイルがあり、それぞれの製品にはどれも3桁の番号が付与されています。


石見麦酒のある波子駅
※出典: 石見麦酒のFacebookより


石見麦酒
※出典: 石見麦酒のFacebookより


※出典: 石見麦酒のFacebookより


※出典: 石見麦酒のFacebookより

石見麦酒では、原材料にイギリス産、ドイツ産、カナダ産の麦芽と、 アメリカ産、チェコ産、イギリス産、ドイツ産、ニュージーランド産のホップを使用し、 広島県の阿佐山に源を発する中国地方では最大の一級河川である江の川(ごうのかわ) より取水される水を仕込み水として使用して醸造しています。

セッションIPA

ベルジャンホワイト

アメリカン ペールエール

エクストラ ペールエール

セゾン

ドライスタウト


石見麦酒を製造・販売する株式会社石見麦酒は、クラフトビールの製造・販売のほか、 石見式と呼ばれる独自の醸造設備の開発・製造・販売や、ビール醸造に関するコンサルティング業務なども手掛ける会社で、 2015年に山口 厳雄(やまぐちいつお)さん、山口 梓(あずさ)さんご夫妻によって設立された会社です。 代表取締役は妻の山口 梓さんが務めており、工場長&醸造責任者を山口 厳雄さんが務めています。 醸造を担当する山口 厳雄さんは、広島県広島市東区の出身で、高校卒業後、長野県の大学に進学。 卒業後は長野県の企業に就職した後、実家のある島根県にUターンし、 木製品の製造を営む家業の新規事業としてクラフトビール事業を立ち上げたという醸造家です。

山口さんは、2015年に石見麦酒を起業し、 島根県石央地域地場産業振興センタ―内に醸造所を開設。 2016年3月5日より自家醸造ビールの販売を開始しました。その後、2020年には製造能力向上のため、 温泉リゾート風の国醸造所へ移転しました。 ( ※これまでの経緯は、それぞれのリンク先をご覧下さい。) そして、2024年には更なる製造能力向上を見据え、ここからご紹介する波子駅醸造所へ移転しました。

豊かな緑に囲まれたリゾート施設「温泉リゾート 風の国」の敷地内の一角へ、 2020年に「温泉リゾート風の国醸造所」を構えた石見麦酒は、 新型コロナの影響を受けつつもクラフトビールの生産量を維持し、関連事業の展開にも精力的に取り組んできました。 ところが2023年に入ると、温泉リゾート 風の国の運営元から借地契約の期限が示され、 さらなる製造能力向上も視野に入れ同年7月頃より新たな場所への移転を検討すると同時に物件探しを始めました。 そして3軒ほど候補地が出てきたもののいずれも契約には至らず、 最終的に移転先として決まったのが、JR山陰本線の波子(はし)駅でした。

波子駅は、江津駅から西へ3つ目の無人駅で、1921年(大正10年)9月1日に開設されました。 国鉄時代に1985年3月14日のダイヤ改正のタイミングで無人駅となり、 その後国鉄の分割・民営化によりJR西日本に移管された1987年4月1日からは駅員が常駐するようになりましたが、 1990年には再び無人駅に。 その後、2000年4月15日に近隣へ大型水族館(しまね海洋館アクアス)が開業することを受けて、 江津市が駅舎を買い上げて全面改装し、駅舎内には集会所として利用できる波子駅会館が設けられ、 江津市から指定管理者として運営を委託された住民団体が駅舎の管理をするようになりました。 また、それまで普通列車のみの停車でしたが、特急や快速も停車するようになりました。 乗降客の増加を見越して、波子駅会館の一角では、 JR西日本からの受託で乗車券の発券を行なったり、しまね海洋館アクアスの入場券販売を始めました。 しかし、それも2022年3月31日をもって終了となり、現在は無人駅となっています。 ちなみに、島根県内のJR駅数68駅のうち、無人駅は59駅もあり、その割合はおよそ86%にも上ります。 こうした無人駅を、どう活用していくかが地元の課題となっていました。

そうした波子駅と山口さんをつなぐきっかけとなったのが、 テレビ東京の番組「田村淳のTaMaRiBa」でした。( ※江津市では放映されていないようですが) 同番組は、地域の課題と向き合い有識者の知恵を借りつつ地域創生を行なっていく姿を追うというもので、 鉄道での移動に多大な時間を要することから「東京から一番遠いまち」というキャッチフレーズで、 人口減少に悩む江津市の姿を取り上げて2022年10月から放映されているものです。 番組の中では、「江津ブランディングプロジェクト」と名付けて各界から人を招聘し、 江津市職員と一緒に市内にある「菰沢公園」や「波子駅」の利活用策を練っている様子が放映されていました。 江津市側も市が所有する駅舎を上手く活用して新たな付加価値をつけることで波子駅を人が集うような場所とし、 その周辺や地域全体の活性化につなげることを目指す取組み「波子駅リブランディングプロジェクト」を推進していました。

山口さんは、移転先の候補地探しを続けている中で、 「田村淳のTaMaRiBa」や「波子駅リブランディングプロジェクト」のことを知りました。 そして早速、テレビ局が現地へ取材に来る日程を江津市に確認し、駅を丸っと醸造所にするという企画書をつくり、 取材当日テレビ局から訪れた関係者へ直談判に行きました。 すると、当初テレビ局側では波子駅をアニメのオタクが集まる駅という内容で取り上げる予定だったところを、 山口さんの企画が出てきたことで、「オタクよりもこっちの方が面白い」ということになりました。

そして次の一手として山口さんは、「田村淳のTaMaRiBa」で知り合った株式会社ABIや、駅舎を管理する江津市と相談して、 波子駅を盛り上げるためのイベントを企画することになりました。 山口さんは、東京の旅行会社と協力し、「ビール&日本酒列車の旅」というイベントを企画。 その内容は、全国から参加者を募り、 JR西日本の協力により出雲市駅から都野津駅までの間で貸切のビール列車「GO>GOTSU!号」を臨時運行してもらい、 参加者には日本酒やビールを楽しんでもらいます。そして都野津駅から普通列車に乗り継いで、 波子駅に到着すると近くの海水浴場で特設ビアガーデンや石見神楽の鑑賞、 地引き網体験などが楽しめるというもので、2023年9月2日~3日の2日間で実施しました。

こうした活動を通して、 波子駅の駅舎を醸造所としてリノベーションすることによる経済効果を江津市や周辺の住民にも理解してもらうことができ、 また過去のビール列車運行で縁のあったJR西日本からの支援もあって、 移転先を探していた山口さんと、波子駅の発展を望む江津市の利害が一致した形で、 波子駅の駅舎を丸ごとクラフトビール工場に改修する方向で話が進みました。 そして同年9月21日に開催された市議会情報交換会において、 波子駅会館を醸造所として利活用する方針が明らかにされ、新聞にも掲載されました。 また、江津市は「波子駅リブランディング事業」に沿って、 地域再生計画に基づき石見麦酒を指定管理者とすることを決定。 2023年12月初旬には、江津市と石見麦酒との間での旧波子駅会館の借地契約の締結に漕ぎ着けました。

こうして、2024年1月1日付けで江津市との契約期間がはじまり、 山口さんは「温泉リゾート風の国」内の石見麦酒の看板を降ろす代わりに、 波子駅の旧波子駅会館の入口に石見麦酒の看板を掲げました。 そして同年1月中旬~3月下旬にかけて旧波子駅会館内の改修工事を進めながら、 順次機材の引越しを行ない、機材を引き払ったスペースから移転元の現状復帰工事も並行して進めました。 改装工事はこれまでと同様、自分たちで出来ることは自力で進めようということで、 業者へ依頼せざるを得ないところ以外は、家族や従業員が力を合わせてDIYで行ないました。 同年4月20日には、波子駅醸造所と直売所のお披露目会を開催。 2024年6月1日に、酒類等製造免許(ビール、発泡酒)移転を取得。 温泉リゾート風の国醸造所(温泉リゾート 風の国内)での最後の醸造を終え、 同年6月10日には温泉リゾート風の国醸造所から波子駅醸造所への醸造設備の引越しを行ない、 翌日から早速波子駅醸造所での醸造を開始。 また、同年9月1日より定番商品を瓶入りから缶入りに切り替えました。 同年9月7日には、波子駅醸造所と直売所のグランドオープンを迎え、記念イベントを開催しました。

山口さんに石見麦酒の今後についてお尋ねすると、 「壮大な事業拡大は考えてはいない。あくまでマイクロブルワリーの利点を活かす方向に徹していくつもり。 だから、カンニングマシン(缶詰め機)なんかも1個2個から詰められるような機械を、自分たちで開発している。 今後は波子駅周辺の整備に力を入れて行きたい。耕作放棄地で草がうっそうとしていたところへ、 カレー屋や羊牧場を誘致したり、土地を購入したりしている。 今後も誘致を続けて行き、人が集まる場所づくりを進めて行きたいと思っている。」と語ってくれました。


醸造設備
※出典: 石見麦酒のFacebookより


※出典: 石見麦酒のFacebookより


石見麦酒のこれまでの歩みは、以下の通りです。
2015年5月株式会社石見麦酒を設立
2015年10月島根県石央地域地場産業振興センタ―内に醸造所を開設
2015年12月22日酒類等製造免許(発泡酒)を取得
2016年3月5日地元イベント会場にて、石見麦酒をお披露目
2016年4月1日石見麦酒を販売開始
2018年2月醸造スペースを拡張
2019年2月14日酒類等製造免許(果実酒)を取得
2020年6月15日温泉リゾート風の国醸造所へ移転
酒類等製造免許(果実酒、ビール、発泡酒)移転を取得
2020年6月20日温泉リゾート風の国にてタップルームをオープン
2024年1月中旬波子駅醸造所予定地の改修工事を開始
2024年4月20日波子駅醸造所と直売所のお披露目会を開催
2024年6月1日酒類等製造免許(ビール、発泡酒)移転を取得
2024年6月11日波子駅醸造所にて醸造開始
2024年7月1日酒類等製造免許(リキュール)移転を取得


<ご参考> 全国で石見式を参考にしている醸造所は以下の通りです。(発売の順)
■石見麦酒(島根、2016年3月5日発売)
羽後麦酒(秋田、2017年7月29日発売)
日南麦酒(宮崎、2017年9月1日発売)
西陣麦酒(京都、2017年10月1日発売)
穀町ビール(宮城、2017年10月7日発売)
種子島ブルワリー からはな(鹿児島、2017年10月21日開店)
永代ブルーイング(東京、2017年11月3日発売
SWALLOWS NEST BREWING(香川、2018年1月21日発売)
26Kブルワリー(武蔵野、2018年2月27日発売)
SHIKI BEER(埼玉、2018年3月2日発売)
FERMER'S BREWERY 穂波(島根、2018年4月8日発売)
澄川麦酒醸造所(札幌、2018年4月14日発売)
Hiroshima Micro Brewery(広島、2018年4月16日発売)
OCTONE Brewing(群馬、2018年4月25日開店)
TOSACO(高知、2018年4月27日発売)
鋸南麦酒(千葉、2018年4月28日発売)
AKARI BREWING(鳥取、2018年5月1日発売)
アーチブルワリー(山口、2018年5月5日発売)
Session's Brewery(広島、2018年5月11日発売)
広島北ビール(広島、2018年5月19日発売)
近江麦酒(滋賀、2018年5月24日開店)
RIOT BEER(東京、2018年5月31日発売)
有本麦酒(大阪、2018年6月18日発売)
星野製作所(埼玉、2018年7月14日発売)
475BEER(鳥取、2018年8月1日発売)
8Peaks Brewing(長野、2018年12月8日発売)
松戸ビール(千葉、2019年5月25日発売)
安芸乃国酒造(広島、2020年4月18日発売)
高津川リバービア(島根、2021年2月27日発売)
岐阜麦酒醸造(岐阜、2021年3月28日発売)
Izumo Brewing(島根、2022年2月25日発売)
出雲多伎BREWERY(島根、2022年6月1日発売)
FIVE VISION BREWERY(愛知、2022年8月1日発売)
■法龍山麦酒(神奈川、2023年4月20日発売)
甘く浮く(栃木、2023年5月13日発売)
■ツバメビール(新潟、2023年8月26日発売)
■しもかわ森のブルワリー(北海道、2024年2月9日発売)
Tri-potamia三州麦酒(愛知、2024年10月27日発売)


ビアクルーズ管理人の一言:
2024年11月、島根県江津市にある「石見麦酒 波子駅醸造所」で醸造された6種類のビールをオンラインショップで購入し、 自宅で飲みました。



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